山 行 記 録 No.111
白馬岳(2号雪渓) 山スキー |
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【日程】 2006年 6月 3日(土) | 【メ ンバー】 TAKUさん・お気楽 2名+ (小雪渓まで)きむひろさん |
日帰り 自宅 → (車)猿倉 → 白馬尻上 → 岩室付近 → 村営頂上宿舎 → 白馬山荘→ 快晴 3:30 7:00/07:44 8:50/9:03 11:35/11:45 13:51 14:26 白馬岳山頂 → 2号雪渓エントリーポイント→ 大雪渓合流→ 白馬尻 → 猿倉(車)→ 自宅 14:53/14:57 15:02/15:20 15:55/16:06 16:18 16:59 20:50 |
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自己評価 眺望★★★★☆/ 達成感★★★★☆/ 危険度★★★☆/ 疲労度★★★★☆ 総合評価★★★★☆ |
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白馬岳(猿倉より) | 2号雪渓エントリーポイント |
はじめに
今シーズンの滑り納めに相応しい場所はというとやはり北アルプス。
今年は残雪豊富なためまだ滑れる場所も多く、しかも日帰りで手頃に行ける所というと白馬界隈か
立山、針ノ木あたりか・・。
GWの不完全燃焼が尾を引いており最後に完全燃焼したいところ。ではとGWのリベンジも兼ねて白馬
方面。白馬岳山頂直下の絶壁から一気に落ち込む難度の高い2号雪渓を滑ってみようということに
なった。
山行記
朝TAKUちゃんと待ち合わせて関越〜上信越道長野経由で猿倉まで一気に。途中小川村あたりからは
五竜や鹿島が綺麗に見え晴天の予感♪。猿倉で待ち合わせのきむひろさんからは携帯メールでもう
着いたと連絡が。麓の八方では霧だったが猿倉では晴れて来たと連絡が・・。
あまり早くない時間帯の到着のため猿倉の駐車場の混み具合が気になっていたが、さすがに時期が
中途半端なので満車になるほどの混雑ではなくてホッとした。
きむひろさんはもう準備も完了しているので早速準備し始めたが山は暑さ対策がメインか寒さ対策
はどうしようかと悩んでるうちに準備に時間がかかってしまったが40分後に出発!
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代掻き馬(猿倉駐車場より) | 猿倉駐車場 |
猿倉からは最初の20分程度は雪があったり切れたりで板を担ぐ。途中の長走沢出会の川のあたり
からシール歩行が可能になる。さすがに1ヶ月前から比べると雪は大分少なくなっている。
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まずは新緑の中の林道歩き | 2号雪渓滑走ライン確認(赤線) |
金山沢出会もまだ雪が繋がっている。白馬尻の手前から雪渓に降りて登って行く。風が急に涼しい
風になり大雪渓に来たなと実感。白馬尻の2軒の小屋は除雪作業をしているがかなりの深さまで掘
っている。
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大雪渓に出る | 小蓮華直登ルンゼをチェック |
白馬尻あたりからは小蓮華直登ルンゼや白馬沢からの雪の付き具合等、次回以降の参考のために
観察する。
大雪渓の登りは単調だが景色がジワジワ変化していくので飽きずに楽しいが傾斜がキツイ場所に
なると苦しい。杓子側からは相変わらず落石が多くカラカラ乾いた音も何回も聞こえ人頭大の石
も転がっていたが雪渓までは来ないが要注意。
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白馬尻 | 大雪渓の登り |
途中、2号雪渓からのルートが良く見える場所があったのでインスペクション。。後半のノドの部
分良く見れなかったがかなり狭くなっており、上部から右に避けたほうが良さそうだ。(これもし
っかりルート確認出来た)
葱平を過ぎると斜度も増し、シールはかなりキツくなり何度もズリ落ちそうになって踏ん張りなが
らなんとかシールでジグ切って登って行く。板が短いからというよりシール登行が下手なので悪戦
苦闘。前を行っていたきむひろさんやTAKUちゃんは姿が小さくなりやがて見えなくなる(汗)。
ペースが遅いので気持ちいい位にバシバシ追い越されていく。さすがにこの時期に登る人は足の速
い人ばかりで夏のシーズンとは全く様相が違う。。岩室付近の左側には雪渓に岩が出ている場所が
あり水流があって、ここで休んでいる人が何人かいる。風が全く無くなり暑さが堪えてきた所で冷
たい水にありつけて嬉しい♪
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大雪渓の2号雪渓合流点より滑走ライン確認(赤線) | 岩室付近の水流 |
ここで一人で小休止した後、また登り始めた所で上からパラパラ雪が落ちてきたと思って見上げた
ら女性が滑落してきた。。自分の真正面から来たのだがシールでやっと踏ん張っていたので身動き
取れず、止めてやる余裕なんて全く無く避けるので精一杯。コケながらかわしたが、その女性は水
場の岩場にギリギリでぶつからずに岩場で休んでいた人がなんとか止めてやることが出来て怪我も
無さそうだったが100m位滑落した感じで、緩んだ雪の大雪渓でも油断すると危ないもんだと感じ
た。
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小雪渓のトラバース | 小雪渓横にて休憩中 |
岩室の上から小雪渓のトラバースが見え登山者のためにベニガラが撒かれ道が切ってある。その横
のすぐ上できむひろさんTAKUちゃんが待っててくれた。(30〜40分待ったらしい・・)
ここで杓子方面に向かうきむひろさんと別れて、TAKUちゃんと2人で村営頂上宿舎目指して右手に
トラバースして登って行く。
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杓子岳 | 村営頂上宿舎 |
村営小屋の下あたりの傾斜が急になったあたりの1ヶ月前の悪天で敗退した場所あたりで急にバテ
始めたのでまた一人で小休止。アミノ酸と甘い物を取り少し復活。また登り始める。このあたりま
でにもうほとんどの人に抜かれてもう最後尾グループに・・・バテバテのツボ足のオジーサンと重
そうなファット板を担いだにーちゃんと遅足集団結成で歩いては停まりの繰り返し・・。
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杓子岳と白馬鑓ヶ岳 | 白馬山荘と白馬岳山頂部 |
やっとの思いで村営頂上宿舎横を通過して少し登ると白馬山荘と白馬の山頂が見えてきた。雪は白
馬山荘までは繋がっているが山荘より上には全く無い。村営小屋の少し上でシール歩行から担ぎに
して山頂を目指す。白馬山荘からは右手の道に進み2号雪渓エントリーポイントが良く見える松沢
ケルンを目指す。
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旭岳 | 松沢ケルンと2号雪渓エントリーポイントと白馬岳山頂 |
ようやく松沢ケルンの横に着いて2号雪渓を覗くとちょうどエントリーするボーダー2名(偶然に
も猿倉の駐車場で隣に車を停めてた人)がいたので見学。やはり安全策で下の方からドロップして
いる。雪は程よいザラメ♪、エッジのかかりもいいし逆に引っかかりも無さそうだが滑るたびに斜
面を削った雪が小さく崩れていくので止まる場所を注意して選ぶのとクレバス・シュルンドが所々
にあるので要注意。やはり出だしさえクリアーすれば行けそうだとの感触を得た。
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2号雪渓エントリーポイント(これからドロップのボーダー) | やっぱり急斜面・・ |
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山頂横から見た2号雪渓。 左は今回撮影、右は同じ場所から2004年8月に下見で撮影 |
山頂ではTAKUちゃんも相当待った(1時間?)らしく、「2号雪渓が日陰になっちゃってますよ
ー!」って待ちくたびれて叫んでいる。。(ハイハイ分かってますよん)
さすがに登りでバテバテでここまで猿倉から7時間。。
山頂はせっかくなんで一応踏んでおこうとザックをデポしてスタコラ山頂へ。空身でも兼用靴は
歩き難い。。
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3度目の山頂、いい天気・・・♪ | 山頂より雪倉・朝日 |
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山頂より小蓮華方面 | 山頂より主稜方面 |
3度目の山頂を踏み記念撮影して景色を楽しむことなくすぐにエントリーポイントへ戻る。
するとデポしていたTAKUちゃんの板の横で雷鳥のオスがメスをガーガー言いながら追っかけてる
・・思わず笑ってしまってリラックス出来た。
さて早速滑走準備。。いつもならゆっくり準備するがもう日も陰ってきた時間なので大慌て。。
シールを剥がして軽く屈伸運動してバックルを締め直してさあ行こうか〜。何か慌しく準備したが
心の準備がまだ出来てないけどもうなんとかなるに違いないと自分に思い込ませる。ここはいきな
り核心なんで最初に滑る動作がいきなり最高潮に達するのが厳しい。準備運動としての滑りが出来
ないからだ・・。
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エントリーポイントで雷鳥のお見送り | 同じくオスです |
どっちが先に行こうか??TAKUちゃんはどっちでもいいと言うので今回は先に行ってもらうことに
した。
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さていよいよ・・・ | 急です・・ |
真ん中から右手に進むと思ったら一番右からドロップしてスタート。
気合を入れて「アドレナリ〜〜ン〜!」と叫んで飛び込む!。2〜3ターンもすればすぐに斜度も
下がり70〜80m下ったところ迄無事滑って待機。
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武装したTAKUちゃんのスタート | 無事急斜面をクリアー♪ |
さあーいよいよオレの番かー。さて真ん中から行こうと思ったが、TAKUちゃんと同じく一番下から
イマイチ気合不足のままふわっと無言でドロップイン!。こういう転倒の許されない場所で注意す
るのは「後傾・内傾姿勢にならない」「谷足に乗る」という基本中の基本(要は逃げるなってこ
と!)、それだけを注意した。
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さて、お気楽のスタート(プチビビリ・・) | さあ〜楽しく行きましょう・・♪ |
最初のターンをしたのかしないのか分からないうちに横滑りをちょっと入れたらすぐに斜度が落ち
着いたので2〜3回ターンしたらすぐにTAKUちゃん待機場所へ。
なんかあっけなく核心部終了。あとは思ったより広い斜面を写真を撮り合いながら中小回りターン
で滑り降りる。
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攻めろ〜! | キマった〜♪ |
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TAKUちゃんも攻めてます! | こちらはもっとキマった〜♪ |
想像以上に広い快適な斜面♪斜度も30〜40度で縦スジも意外に少ないが落石が所々に散乱してい
る。TAKUちゃんは板が新しいので相当気にしていたが、根付いた石ではなく浮石なのであまり気
にせず行く。
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意外に広い好斜面 | 左がノド、右は広い(無難) |
後半のノドにあたる場所は右の広い方にルートを取ったほうがいいということで右寄りを降りると
分岐は大雪渓からチェックした通りの場所で分かり易い。
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やはりノドは際どかった・・・ | ヤバかったクレバス |
そのまま落石に気をつけながら滑り、斜面が更に広がった所でスピードを上げると目の前にクレ
バスが・・、急ブレーキ&右ターンでかろうじて直前でストップ。やはりゲレンデじゃないので
危ない。。
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そろそろ大雪渓と合流(落石多い) | 大雪渓に無事合流♪ |
2号雪渓の滑走は無事終わって大雪渓に合流。
↓2号雪渓ルート全容
赤線が滑走ルートです
(我々の滑った2時間前位に双子尾根のジャンクションピーク上でぶなの森の山川さん
が撮影したものです。 写真提供していただきましてありがとうございました)
ここから後は緩中斜面を滑り降りるだけ。石や木の枝とか障害物をかわしながら白馬尻へ、小屋の
除雪の状態を見て更に猿倉へ、最後は板を脱いで林道歩きで無事駐車場に到着。
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白馬尻の小屋掘り出し(深い!) | 猿倉駐車場に無事到着♪ |
駐車場では杓子に行ったきむひろさんが先に降りて待っててくれていた。杓子沢は落石が多くあま
り快適で無かったとのこと。
ここでコーラで祝杯を上げようと雪の中にTAKUちゃんが隠していたペットボトルが盗まれていたら
しく怒っていた・・(笑・・っちゃいけない・・)。
温泉でも入ってゆっくり帰ろうかとも思ったが妻子持ちのTAKUちゃんは家に早めに帰らなければな
らず速攻で家路についた。
おまけ
噂の2号雪渓だがやはり最初の20m程度が核心。斜度は50〜60度位か・・。雪質と雪の付き具合に
よって難易度が大きく変わるだろう。今回は雪付きもまあまあで程よく緩んでいたし雪庇も無かっ
たのでなんとかなったが、クラストしてたら無理だったでしょう・・。
これから行かれる方はこの点に充分注意して自信が無かったら止めておいた方がいいでしょうし、
行くなら攻めの姿勢を忘れずに飛び込んだ方がいいでしょう。ビビると後傾・内傾になって転倒に
繋がって危険です。(安易な気持ちで行くのは危険ですので止めましょう!)
自分自身の反省点としていくら暖かい日といってもドロップする時間がちょっと遅すぎたのと、薄
いグローブにドライシャツ1枚、頭はタオルを巻いただけというのはちょっと無防備過ぎでした。。
やはりアウターを着てしっかりしたグローブを付けヘルメットを被る。ビンディングの締め具合、
靴の取り付け具合確認等最低限のことはしっかりしてから滑るべきでしょうね。
2号雪渓を攻略するには雪質の見極めと雪庇やシュルンドの確認。
練習はハーフパイプの側面の上の部分を使ってどの程度横滑りやズレ落ち、ブレーキングの確認を
するといい練習になるんじゃないかと思いました。。
そうそうゲレンデで60度近い斜面は無いですからねー。
これで今シーズンは無事終了! 気分良くいい締めが出来ました♪♪
※今回のGPSデーターはこちらです
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