山 行 記 録 No.130
白馬鑓ヶ岳(2903m)中央ルンゼ 山スキー |
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【日程】 2007年 5月 3日(木・祭) | 【メ ンバー】 TAKUさん・お気楽 2名 |
日帰り 自宅 →(車)猿倉 → 白馬尻上 → 岩室上 → 稜線のコル2610m付近 → 杓子巻き道 晴のち曇 3:00 6:10/7:00 7:57/8:03 10:38/10:58 11:24/11:26 12:05/12:20 → 杓子〜鑓ヶ岳のコル → 白馬鑓ヶ岳 山頂 → 1800m付近 → 杓子沢合流 → 小日向のコル 12:26/13:00 13:35/14:00 14:57/15:10 15:16/15:35 16:09/16:24 → 猿倉 → (車)自宅 16:46/17:10 21:50 |
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自己評価 眺望★★★★/達成感★★★★☆/危険度★★★★/疲労度★★★★/総合評価★★★★☆ |
白馬鑓ヶ岳 中央ルンゼ(写真中央のS字) | 白馬鑓ヶ岳山頂と中央ルンゼ上部斜面 |
はじめに
GWは3日間で穂高・槍エリアを滑りまくろうとか考えていたが、予定していた1日・2日を絡ませ
る日程がちょうど悪天で日程変更を余儀なくされ、結局日帰り2発になってしまった。
今年は暖冬と言われながら逆に3月以降は寒い日が多く、2月の八甲田や4月の針ノ木や立山での
雪崩事故がヤル気を挫いたこともあったりイマイチ天気や雪に恵まれなかった気がするが・・
(今までが恵まれ過ぎという見方もあり・・)
ルンゼ滑降も唐松dルンゼもチャンスを逸したりだったが、GWの後半戦になんとか日帰りで行け
そうなとことして一応候補は白馬鑓ヶ岳の中央ルンゼ。しかし、GWも寒くて降雪のあった日もあ
り、前半には大雪渓でも雪崩に巻き込まれた人もあったりで、条件もあまり良くなさそう。
ま、滑れたら滑るという気持ちで杓子沢か鑓沢方面を滑るつもりで時間があれば清水谷も滑ろうと
いうことで出かけることにした。
山行記
当日朝3時に出発、途中TAKUちゃんと合流して猿倉へ。駐車スペースが心配だったが6時過ぎの猿倉
はまだ余裕で置けた。さすがに夏とは違う。
猿倉より白馬岳 | 猿倉駐車場 |
最初からシールで登れるのは嬉しい。
長走沢のスノーブリッジも問題無く通過。白馬尻の少し上で1回目の休憩。登り始めには暑かったが
少し風が出て来てヒンヤリしてくる。
僅かな休憩で歩行再開、それにしても大雪渓を登る人は多い。気になるデブリ大きなものはないが小
さなデブリが多いのが気になる。
葱平の手前あたりからやはりシールの効きが悪くなり、ズルズル滑り出すので、軟らかめの雪にはあ
まり効き目はないかもしれないがクトーを装着して登る。
白馬大雪渓下部 | 白馬大雪渓中間部 |
何気にベテランっぽい2人と前後するようになったらその片方の人から声を掛けられる。
「お気楽さん?」と言われた時はビックリ! あ〜オレも有名になったのかー・・とか勝手に思って
たら、よくネットでやりとりしている山スキー界では有名な福井のYAMADAさんだった。まさかここで
お会い出来るとは・・とビックリ。
しばしYAMADAさんと同行者のTAKAGIさんと前後しながら登る。相変わらず登り難い斜度が続き適当に
ジグ切って登ると、クトーを付けてる間に先行していたTAKUちゃんが岩室の上付近で待機していて合
流。YAMADAさんグループと一緒に記念撮影!
YAMADAさんグループといつものポーズで記念撮影 | 稜線への詰めはツボ足で |
ここで白馬山荘に向かうYAMADAさん達と分かれ、杓子〜丸山のコルに直登する。ここにはトレース
もバッチリあり板を担いで雪庇の無いコルに登り上げると景色が一気に開け、毛勝三山が目に飛び
込むが、風が強い!!白馬鑓ヶ岳はまだかなり遠くに見え、ガッカリする。夏に何回も見てる時は、
わりと近くに見えたが実際に行く時は遠くに見えるもんだ・・。
稜線からの杓子岳 | 稜線から毛勝三山方面 |
強風の中、杓子方面に歩いて行く。先行者を2名見かけたが1名は杓子に登って行く。もう1名は巻
き道へ行ってたのでその人の後を追う形となりやがて追いついて言葉をかわす。
(後で分かったが焼山北面台地でもすれ違ったとうさいさんだった)
右手の清水谷がかなりそそられる、滑ろうかどうしようかと思いながら後を振り向いてもTAKUちゃん
がなかなか来ない。そういえば稜線のコルに登る時は板を引っ張ってたのでそれを担ぎにしたりアイ
ゼンを付けたりしてるのか・・
こちらは清水谷を滑るか迷ってたのでゆっくり風のある寒い中を歩いて、追いついてくるのを待った。
やっとTAKUちゃんが追いついてきて、清水谷はとりあえず滑らず白馬鑓を目指そうということになっ
た。
かなり体も冷えて風も強いので、ヤル気も失せて来て杓子沢でも滑ろうかと思ってTAKUちゃんに白馬
鑓に行く気あるのか聞いたらヤル気満々だったので、これは頑張って行くしかないと思い、杓子〜白
馬鑓のコルで休憩&シール剥がし&アイゼン装着。2人バラバラに準備したのでちょっと時間を食っ
てしまった。
目指す白馬鑓は遠くに感じる | 白馬鑓へは最後に急登が |
白馬鑓ヶ岳 山頂にて記念撮影(烈風で体も斜め・・) | 岩陰で滑走準備 |
出発準備が整ってさあドロップだ!・・・雪はやはり硬い。。
斜度的には山頂から少し下った場所なので大したプレッシャーは無いが、風も冷たくクラストしてい
るので最初は斜滑降で雪の状況を見定め見てからターンする。
やはりかなりのカチコチ雪だがエッジはなんとか掛かる。
(ピック付きのストックを買って持って来て良かった・・)
一見広い中央ルンゼだが・・ | ドロップイン直後 (photo by TAKUちゃん) |
転倒するとかなり危険なのでゆっくりターンしながらなるべく斜め方向に進む。斜めに行かないと自
分のターンで削った雪がパラパラ落ちて来て顔に当たったりすると痛いからだ。
ただでさえ強風で山頂方向から小さな氷粒が顔に当たって痛い。
少しづつ硬いバーンにも慣れ、その都度滑るのに安全そうな場所、停止場所も安全そうな所とかを考
えながら慎重に滑る。これがゲレンデなら無理にでも一気に行ってしまえないことはないが、ここは
ゲレンデはないので慎重に・・。
上部は広い! | 気持ちいい斜面だがアイスバーン(滑走者:TAKU) |
高度を落としていくと次第に雪が緩んでモナカ状の所が出てきたので、わざと北向きの硬い雪を選ん
で滑る。
核心のノドのあたりはやはり急で狭いが、雪が多かったので落石も少ないし、巾も10m以上は余裕で
あったので雪崩や落石に注意しながら通過。なるべく左寄りの安全そうな所に逃げながら滑る。ちょ
うど真ん中にはスラフで出来た溝のようなも物もあった。
旨くシュプールも刻めない | ノドに突入! |
ノドのあたりから雪も緩み出し、今度は一気にグサグサの重い雪になる・・・。なかなか程よい快適
な雪が現れない。。
重い雪になると今度は足元にかなり気を使う。ターンの切り方が横方向に長かったり、停止の時に思
いっきり押し出し過ぎると小さなスラフになってサーっと雪が流れて行く。
勿論この時期の重い雪のため、ゆっくりしたスピードで流れるのであまり気にならないが、滑ってる
時に足元をすくわれないないよう注意。
ノド通過!(滑走者:TAKU) | ノド通過してからは飛ばす(滑走者:TAKU) |
危険地帯をようやく過ぎると今度はデブリ帯、4月の白馬沢でイヤというほどデブリを味わったが
またか・・。。
左手のデブリの少ない所はターンたびに小スラフが発生するし、右手はデブリだし、まともに滑れる
所が無いので左右に行ったり来たりしながらなるべく滑り易い所を選びながら滑る。
下部はデブリで覆われている | 最後はやっと快適ザラメ斜面 |
最後の最後でようやくデブリ末端を抜けるともう緩斜面。
ここでやっと満足なターンが出来て少し降りた所で完全な安全地帯となり大休止。
鑓温泉方面を眺めると何人かがゆっくり滑っていてシュプールはいっぱいある。中央ルンゼは我々
のシュプールしかない。。
無事中央ルンゼの滑走を終えて記念撮影 | 鑓温泉方面の斜面 |
小日向山とコルの場所を確かめて、滑走再開。あっという間に登り返し地点の湯入沢上部に到着。
ちょうどこの場所からは今滑った中央ルンゼの全景が見えるためTAKUちゃんと記念撮影♪。
小日向のコル方面 | 小日向のコルへの最後の登り返し |
ここからは約180m位の登り返し。
シール登行にちょうどいい斜面を登る。小日向のコルまで少し飛ばしすぎて最後はバテバテで到着。
小日向のコル | 猿倉へ向けて最後の滑り |
またまた風が強くなったので少し下った所まで行き、シールを剥がし最後の滑り。左手に進み長走沢
の右岸から右手に入り尾根沿いの林を掻き分けながら飛ばして滑って行くとあっとういう間に猿倉荘
上の林道の所に出て少し滑って無事駐車場に到着。
行動時間が長くなったが無事戻れてホッとした・・が疲れた・・。
帰路は温泉にでも浸かって帰ろうとしたが、どこも混んでそうなのと、高速の通勤割引適用の時間が
迫ってたのでそのまま長野ICへ向かって高速に乗り、ららん藤岡で食事して帰った。
※今回のGPSデーターは位置ズレが多いため公開は止めました。
おまけ
今回は稜線の強風で少し体力を消耗したが、安全面の条件にはまずまず恵まれて滑ることが出来て
良かった。ただ、斜面はかなり硬かったので必ずしも安全とは言い切れないかもしれません・・。
それからこの時期は暑さ&寒さの両方の対策が必要だということを改めて実感です。
今回は念のため両方用意しておいたため寒い思いをせず済みました。
白馬鑓ヶ岳の中央ルンゼの感想というか所感として、
○時期が早いと
・ノドの部分が広い
・落石が少ない
・アイスバーンで滑落の可能性
・雪崩のリスクが高い
・デブリも有
○時期が遅いと
・ノドの部分が狭い
・落石多く危険性高い
・雪はザラメで滑り易い
・デブリも平になる
これはどこにでも言えることかもしれないが、あえて書いてみた。今年は標高の高い場所は多雪のた
め、今回は時期が早い部類に入ると思われます。
どちらにしてもかなり難コースであると思うが、2号雪渓と比べるとドロップポイントの威圧感が無
い分入り易いが、ドロップポイントから見えないノドの部分がイヤらしい。
事前に充分調査の上、条件を見極め、慎重な判断な上トライする必要があるのは言うまでもありません。
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