北アルプス縦走・鏡平〜三俣〜黒部源流〜高天原温泉〜雲の平〜薬師岳紀行

 2004年7月22-26日)

まえがき

高校時代に北アルプスを縦走した時の事は今でも忘れることができない想い出だ。

青い空、咲き乱れる高山植物。3000メートル級の山々の景観。いつかまた縦走して
みたい
という欲望をずっと持っていた。特に日本最後の秘境と言われる雲の平や秘湯中
の秘湯である高天が原温泉へ行くことは、夢であった。


会社の制度休暇で5日間の休みが取れるので、この機会を利用して縦走の計画を立てて
みる。
しかし、この数年1〜2ヶ月に一回くらいの割で山に行っているものの、そのほ
とんどが
日帰りか一泊の山行である。普段トレーニングもしていないのに2〜3泊の縦
走など果してできるものなのか?最近はゴルフをワンランドやっただけでも右膝が痛く
なってくる有り様である。休みを合わせて同行してくれそうな山仲間も居そうにないの
で、行くなら単独に
なりそうだ。

主に目的地は、黒部源流地点、また長年の夢である高天が原、雲の平。そして最後に百
名山でもある薬師岳に登ろうというものである。

幸い、“お気楽登山隊”リーダーのお気楽さんが1日くらいなら休めるということで、
途中まで
同行してくれることになった。お互い仕事が忙しくて、打ち合わせができない
まま7月に
なってしまうが メールで連絡を取り合いながら、コースを詰める。

私のコースは、新穂高温泉から入り鏡平、双六〜三俣小屋、黒部源流を経由して、高天
が原、
雲の平、そして薬師岳を登って折立へ下るコースだ。同行のお気楽さんは、三俣
まで
同行し、その後水晶岳か黒部五郎を目指すとのことであった。

 

7月22日(木)新穂高温泉へ

新宿発13時の特急あずさに乗り込む。車内は平日ということもあり、出張らしきスー
ツ姿のビジネスマンが結構多く、ザックを背負った登山者はわたし以外は見当たらな
い。

ビールを飲み、弁当を食べ、気持良くうたた寝し、4時前に松本到着。松本からバスで
新穂高温泉へ向うが、乗客は5人しか居ないので、一番後の座席で完全に
横になってま
た寝る。他の客は平湯で全員降りてしまい、新穂高温泉に向うのは私しか居ない。

18時に今夜の宿泊先である中崎山荘到着。早速温泉に浸かり、ビールに夕食を取り、ま
た風呂へ入り、22時頃就寝。

 

7月23日(金)新穂高温泉〜鏡平〜双六小屋〜三俣山荘

今回途中まで同行する“お気楽登山隊隊長”リーダーお気楽さんは夜行バスで早朝4時
過ぎに到着することになっているので、3時過ぎに起きれば充分なのだが、興奮してい
るのか?2時前には目が覚めてしまい、寝つけない。おまけに小腹が空いてきてしまい
昨晩のうちに宿が用意してくれた朝食用のおにぎりの3つのうち2つを食べてしまう。
4時過ぎに宿の玄関から外に出るとすでにお気楽
さんが立って待ってくれていた。早速
登山センターに登山届を出して、4時30分出発。わさび平で少し休み、小池新道を鏡
平へ向う。すぐ後ろに焼岳、遠くに乗鞍岳が見える。結構早いペースでどんどん登り、
槍穂高の絶好の展望地である鏡平には8時35分に到着。雲一つない青い空の中に槍穂
高連峰が真近に望め、鏡池にも“逆さ槍”がくっきり映っている。写真撮影後 小屋に
向い素晴らしい展望の中で名物のかき氷を食らう。

9時過ぎに鏡平小屋を出発。稜線への道を登るが、南側の斜面ということもあり 暑く
てたまらない。夜行でほとんど寝ていないリーダーお気楽さんにはこの暑さが相当こた
えたようで、ペースダウン。一足先に弓折岳への分岐点の稜線まで上がって、お気楽さ
んを待つ。

ここからは、両側に咲き乱れる高山植物の中の登山道を右手に槍穂高を眺めながら、進
む。
11時過ぎに双六山荘に到着。ボリュームたっぷりのつゆだく牛丼を食べ、しばし
休憩。


鏡平山荘

弓折岳 山頂直下

12時15分に出発するが、この時間になるとだんだんと雲が多くなりガスってくる。
双六岳〜三俣蓮華岳を登っても展望は望めないということで、右側の巻道をルートに取
ること
とする。ガスの中を歩き、双六小屋を出て2時間半近く経ってようやく三俣のキ
ャンプサイト三俣山荘が見えてきた。14時45分頃山荘に到着。今日は腹が減ってし
ょうがないので、山荘名物ケーキセットを注文。ベットで休養しながら17時の夕食ま
で時間をつぶす。

夕食のメインのおかずはクリームシチューでとっても美味しかった。夕食後、お気楽さ
んが頭痛と喉が痛みを訴える。やはり夜行での寝不足がかなりこたえているようで心配
になる。何せ、ここまで登ってくると、下山するのに一番早いルートでも今日登った

ートを戻るしかないのだから。20時に就寝。

 

7月24日(土曜)三俣山荘〜黒部源流〜高天が原温泉〜雲の平

3時半過ぎ起床。4時過ぎには準備万端整えて出発する登山者もおり、外に出てみると
すでに鷲羽岳山腹には、ちらちらと登山者のヘッドランプの明かりが見える。今日も天
気は良さそうで 昨日到着時には見えなかった槍穂高の姿を山荘の目の前に望める。

幸い、お気楽さんは昨晩は20時から熟睡し、体調は回復したようである。腹はイマイ
チ減っていないがせっかくコンロを持参したので、お湯を沸かし、持参したレトルト雑
煮を食べようとしたところ、なんとこのレトルトは、雑煮汁だけでもちは入っていない
ことが判明。結局“汁だけ雑煮”を飲み、5時過ぎ出発。

5時半には、黒部源流地点に到達。源流と言っても、高さ1メートルも満たない標が立
っているだけで、ちょっと拍子抜けする。そもそもこの地点より上流があるのだから、
ここが“源流”というのもちょっとおかしな話だが、まあ第1の目的地点到達である。


三俣山荘からの鷲羽岳

岩苔乗越

さらに一時間以上登り、岩苔乗越に6時40分頃到着。いよいよここからは水晶岳方面
に向う
リーダーお気楽さんと別れ、単独行となる。互いの無事を祈り、握手をして私は
沢沿いの
道を下る。しばらくすると、単独で登ってくるおじさんとすれ違う。おじさん
曰く“高天が原は良かったね〜。温泉に数時間以上も浸かってしまったよ。”
その後、
今度は30代後半くらい?の女性二人組と会う。高天が原から雲の平へ行く予定と
伝え
ると“温泉良かったですよ。但し、高天が原から雲の平へ向う道は凄い急登で大変です
よ〜。でも若いから大丈夫ですね〜”。若いと言われて悪い気はせず、実は“私今年
40です”とも言えず、苦笑いをしながら彼女らと別れる。

多少右膝に痛みがあるものの、天気も良く、このまま順調に行けば、数時間後には温泉
に浸かってのんびりできるなと思った矢先、とんでもない事が起きた。どうも足元がお
かしいと感じて靴を見てみるとなんと靴のソールが両足ともほとんど剥がれている!で
はないか。

靴のソールは経年劣化で剥がれることがあるという話は聞いたことがあったが、よりに
よってこの場所で自分に起きるとは!頭の中が真っ白になる。とりあえず、樹林帯の中
でザックを
降し、替の靴紐でぐるぐる縛って、ショートスパッツのゴムでソールを押さ
える。

しばらくその状態で歩いてみるが、10分くらい歩いた後、完全に左足のソールが剥が
れて
しまう。その後右足のソールを気にして歩いていたら、バランスを崩し、転んでし
まった。
起上ると、正面には、最後に登る予定である薬師岳が見えた。まるで、“君は
とてもここまでは来れないよ”と言っているかのような 人を威圧するような堂々とし
た姿である。

“くそーなんてこった。”誰もいない樹林帯の中で、独り頭を抱えるが、頭を抱えたと
ころで何も変わりはしない。ともかく高天が原まで行こう!。


高天原山荘

高天原温泉

高天原付近より薬師岳

高天原山荘には、予定より一時間早い9時前に到着。小屋には、従業員の女性が居るだ
けで
他の登山客は誰も居ない。“靴のソールが剥がれちゃったんですよ”と言うと“年
に何人か
そういう方が居ますね〜“とあさっり言われる。ともかく飯を食って温泉に浸
かってこれからの事を考えよう。三俣山荘の弁当を食べ、山荘から20分ほどの風呂へ
向う。朝の九時半ということもあり、露天風呂にも誰もいない。ベストシーズンという
ことで誰かしら居るかと思ったが、、秘湯中の秘湯貸切状態である。青空の下、白い湯
の中に体を沈める。湯の温度は
ぬるくもなく熱くもなくまあ42〜3度というところで
あろうか。

30分ほど風呂に浸かり、小屋へ戻る。改めて地図を広げてルートを検討するが、靴の
状態がどうであろうと予定通り、雲の平〜太郎平へ向うしかない。

“よし、一歩一歩進み、ともかく今日は雲の平へ向おう。”と決意して10時20分小
屋を
出発。山荘近くの湿原を歩いていると、突然がさがさと音がするので、どきっとす
る。
蛇がすぐ前の木道を横切っていく。数分後、今度は同じ種類の蛇が木道に体を横た
えて
近づいても全く動かない。どうも天気が良いので、変温動物である蛇は、日光浴で
草むらから
出てきているようである。しょうがないので、その蛇をまたいで行く。

沢まで一旦下った後、高天原峠への登りが始まる。樹林帯の中は風がなく、すぐ汗が噴
出してくる。沢の手前で一人登山者とすれ違ったきり、全く誰とも会わない。道を外れ
ないよう慎重に進む。峠には11時20分到着。少し休んで、再び急登を登る。
どんど
ん登りは厳しくなり、途中はしごが掛けられている場所もあり、ぜいぜい息を切らして
必死に登る。“朝 会った女性二人組が言っていた急登とはこの地点であったのか!”
せっかく露天風呂に入った後に着替えたTシャツがたちまち汗まみれになる。

この樹林帯の急登を30分ほど登りようやく開けた按部に出て、しばらくすると奥スイ
ス庭園に12時15分頃到着。ごろごろとした溶岩がなんとも特徴的な景観だ。
“あ〜
やれやれもうちょっとで小屋だ!”ほっと一息つくが、朝の晴天が嘘のように周囲は

スってくる。“小屋に着いたら、お茶でも沸かしてゆっくりしよう。”しばらく岩の上
の登山道を進むと、アンテナなような塔が見えてきた。小屋のアンテナかと思いきや、
アンテナ?だけが立っており、小屋はまだ先のようである。

しばらく進むと、草むらから突然何か出てきた。なんと雷鳥である。慌ててカメラを
えるが、すたすた右の方で逃げていく。なんとか遠方からの小さな姿をカメラにおさめ
る。
さらに5分以上進むが、一向に小屋が見えてこない。おかしい!どうもルートを外
れているようだ。慌てて進んできたルートを戻ると、右側の方へルートを示す赤いマー
クが見えてきた。
ガスっていることと雷鳥に気を取られたことで このマークを見落と
したようである。


雲ノ平

早朝の雲ノ平より水晶岳

13時過ぎ雲の平山荘へ到着。肉体的にはともかく、靴の件もありひどく精神的には疲
れた感じだ。食欲もないので、紅茶を沸かし、クッキーだけで昼食を済ませる。
一旦、
小屋の中へ入り、荷物を整理する。まだ14時半で夕食まで時間があるので、30分で
往復できる祖母岳に行ってみようと小屋を出るが、5分しないうちにぱらぱら雨が降っ
てくる。先に小屋から出て行ったおばちゃん3人組が引き返してくる。“雨具持ってい
るの?”
“持ってますよ”“私達雨具持って来なかったので、帰りま〜す。”さらに進
むが、雨が激しくなってくるので、自分も慌てて引き返す。小屋へ駆け込むとおばちゃ
ん3人組に“あれ〜お兄さん帰ってきたの?“ ”いや〜雨具持っていても、こんな雨
で展望ないじゃしょうがないですから。まあ、今日はもう小屋に居るしかないですよ“
”そうよ〜ね“。
(それにしても、お兄さんじゃなくて、もうおじさんなんですけど)

夕食は、石狩鍋だ。ようやく食欲がわいてきたので、ご飯を3杯頂く。夕食後、暇なの
で、
水割りを持ってベランダへ出る。ご夫婦二人で来たという神奈川在住のおじさんと
暫し立ち話
になる。靴のソールが剥がれた事を話すと。“それは、よ〜く点検してこな
いと駄目だよ。”とお叱りを受ける。ごもっともである。

“雲の平は初めてですか?”“あ〜。ずっと何年も前から来たかったんだよ。”おじさ
ん曰く
“かみさんは、本当は海外旅行に行きたかったらしいだけど。俺は山が良いね〜
。やっぱ自分が本当に行きたい所へ行きたいじゃん。君も多分そうかもしれんが、だっ
てさ俺はさ、山が大好きなんだもん“ これまたごもっともである。熱く語るおじさん
にうなづく私であった。

 

7月25日(日)雲の平〜薬師沢〜太郎平〜薬師岳〜薬師岳山荘

4時過ぎに起床。前日は雷が鳴る中、20時頃には眠りについたものの、23時ころ目
覚めて
しまう。“あの靴で薬師まで行くか?辞めるべきか?”考えていたら余計に眠れ
なくなり、再び眠りに落ちたのは、2時近くになってしまった。幸い筋肉痛もさほどな
く、体調は悪くない。

4時45分出発。祖母岳へ向う。若干雲が出ているものの、天気は良好で、山頂からま
わりの
山々はすべて見渡せる。奥日本庭園を過ぎる頃には水晶岳の後ろから朝日が上が
ってきた。
ここまで来ても 自分以外に登山者には全く会わない。アラスカ庭園を過ぎ
る頃に小屋で見かけた女性のグループに出遭い、このグル−プを追い越す。
ここからは
木道がなくなり、樹林帯の急登を下ることとなる。6時を過ぎるとようやく登ってくる
登山者とすれ違うようになる。7時過ぎに薬師沢小屋到着。赤い吊り橋を渡って
小屋の
前のベンチで雲の平小屋の弁当を食べる。昨日の朝と同様どうもあまり食欲がないが、
せっかく小屋の方が作ってくれた弁当である。又食べないとばてるので、水と一緒に流
し込む。しばらくすると、途中追い越した女性のグループが追いついてきた。

小屋のトイレを借りる時に小屋のお兄さんに“土曜の昨日は混んでいたのですか?”と
尋ねると、“いや〜太郎平小屋は大変な混雑だったようですが、ここは布団一人一枚で
したよ”との事。

7時35分出発。今度は登りであるが、一部の区間は木道があり、道は結構整備されて
いる。
途中何回か水を飲んで、休憩を取りながら、9時30分には太郎平小屋へ到着。
さすがに折立方面から登ってきた登山者で賑わっている。ここまで生水ばっかり飲んで
いるので、400円もする“ダカラ”を買ってごくごく一気に飲む。

いよいよ決断の時だ!天気はガスっているものの、まだ10時前だ。靴を何度も触って
みる。
少なくとも靴底が抜けるような事はなさそうである。“よ〜し薬師岳山頂を目指
そう!”
木道を下り、カラフルなテントが5−6張ってある薬師峠のキャンプ場を過ぎ
ると再び
樹林帯の中の登りである。ぬかるんだ道を必死に登る。ケルンのある薬師平を
10時半に過ぎ樹林帯を抜けるとようやく稜線が近くなってきた。右手に雪渓を見なが
らぜいぜい息を切らして登っていると 30人くらいの団体が下ってきた。そのうちの
一人が私の顔を見て、苦笑いをしている。余程私は苦しい顔をしていたようだ。

11時過ぎ薬師岳山荘到着。女性の主人がお茶を出しながら、暖かく迎えてくれる。
山頂はガスで全く見えないが、ここまで来たら、もう山頂へ行くしかない!。雨具と水
と飴玉、
そしてカメラだけ持って山頂を目指す。20分して避難小屋のある地点を超え
るとようやく
左手に山頂が見えてきた。12時ちょうど山頂到達。感無量である。


薬師岳山荘

薬師岳山頂

薬師岳山荘の夜明け

山頂には10人近くの人が居る。そのうちの一人に声を掛け、写真を撮ってもらう。
しばらくすると少し雲が切れてきて、赤牛岳や水晶岳がちらちら見えてきた。

もう2時間近く山頂でシャ−ターチャンスを待っている方も居るようだ。自分も30分
近く山頂に留まるが、さすがに全部の雲が切れることはなさそうので、薬師如来像にお
賽銭を出して山荘に戻る。小屋に戻るとホッとしたのか突然空腹感に襲われる。早速お
湯を沸かして一つだけ持ってきたカップラーメンを食べる。全ての目的は達した。後は
明日無事に下山するだけだ。今度は睡魔に襲われるが、今寝るとまた夜眠れなくなりそ
うなので、一階の食堂でコーヒーを注文。そのコーヒーを味わっていると3時半ころか
ら激しい雷雨となり、ずぶ濡れの登山者が続々小屋に飛び込んできた。すさまじい雷雨
だ。夕食までにまた時間があるので、一度二階に戻るとなんと何箇所かで雨漏りしてい
る。小屋に入ってきた時に天井からビニールがぶら下がっているので、何かと思ったが
何とこれは、雨水を防ぐためであったのだ!

5時前に夕食。てんぷら、肉じゃが、春雨サラダ、そしてじゃがいもの味噌汁がとても
美味しい。雷雨は20時過ぎてもおさまらない。風も強く、なんと言っても雷が凄い、
未だかつて
体験したことがない凄い雷音である。

 

7月26日(月)薬師岳山荘〜太郎平〜折立

4時前に目が覚める。昨晩

はさすがに余程疲れていたのか、薬師岳に登ってホッとした
のか
20時過ぎに眠りに落ちて、一回も目覚めなかった。5時前に朝食を取り、5時半
小屋を出る。

朝焼けの中の槍穂高が美しい。富山の街や南アルプスも遠くに見える。空がなんとも言
えない美しい色をしている。昨晩の雷雨が嘘のようだ。昨日山頂で写真を撮ってもらっ
た方に、また小屋の前や槍穂高をバックにシャーターを押してもらう。


太郎平小屋

有峰湖

折立登山口

いよいよ下山だ。5時過ぎに下山開始。 太郎平を経由して右手に薬師を見ながら木道を
どんどん下ると左手に有峰湖が見えてきた。“終わっちゃったな”たった山中は3泊し
ただけだが、それ以上長く山中にいたような気もする。一方、下山の際はいつもそうだ
が、なんとも寂しい気持になる。

折立には、8時40分頃到着。24年ぶりの私の北ア縦走の山旅は終わった。

あとがき

靴のソール

帰宅して、改めていろいろ調べてみると、靴(トレッキングブーツ)のソールが剥が
れる
 現象は結構多く発生しており、その原因は経年変化によるものでこれといった
対策はない
 そうである。4〜5年たったブーツは、ソールの張り替えをするか?新
しい靴に買い替える
べしとのアドバイスが雑誌に載っていた。薬師岳で出会った方も
数年前突然山中で
ソールが剥がれたことがあったとのこと。縦走の時には、このよう
な事態に備えて
 テーピング用テープを持参すべきであろう。

 

小屋の混雑

ベストシーズンということで心配していた小屋の混雑は思っていた程でなかった。

三俣、雲の平(土曜日だったが)、薬師岳山荘ともに布団は一人一枚で、寝るには十
分なスペースがあり、不快な思いとすることはなく、安心した。

やはり、比較的アプローチが長い今回のコース上の小屋は,槍穂高、表銀座方面の小
屋よりは、遥かに人が少なかっただろうか。

 

山で出会った人々

百名山ブームもあり、近年山に多くの人が来て そのマナーが問題となっているが、
今回
 歩行中や小屋の中で出会った方達は、心優しき方々ばかりであった。

歩行中は、“どっから来ました?”“あともうちょっとで、きつい登りは終わりです
よ”
などと声を掛けてくれる方も多く、随分励まされた。

 

 今回の小屋で特に印象に残ったのは、薬師岳山荘だ。小屋の主人とひげのおじさんの
 感じがとてもよかった。女性の主人は、かつては、ピアノの先生をなさっていたこと
 でも有名な方らしい。またひげのおじさんは、食事時の順番などを仕切る時に 宿泊
 客に
 優しく声を掛けている姿がとても印象的であった。

 

靴のアクシデントなどあり、一時はどうなることか?と思われた今回の縦走であったが
行動中は 好天に恵まれ、無事プラン通りの行程を踏破できた。

やっぱり北アルプスは素晴らしかった!



                                          
          

  PARTT お気楽登山隊 山登り紀行へ