山 行 記 録 No.51                         

御嶽山(3067m)

【日程】 2004年 3月 27日 (土)
  【メ ンバー】  リーダー単独
日帰り   自宅 →(車)おんたけスキー場 →(車) 御岳ロープウェイスキー場山麓 → 飯森(スキー場TOP) →
 快晴    3:50            7:50/8:30                 09:25/09:40                   10:05/10:20      
      8合目(金剛堂横) →  石室山荘 →  覚明堂 →  御嶽山山頂 → 2360m付近  →  2390m付近

        11:50/11:52        13:45/13:50      14:05      14:50/15:12     15:30        16:20
       → 飯森(スキー場TOP) → 御岳ロープウェイスキー場山麓 → (車)自宅
           16:38/16:40             16:45/17:10                 21:30
自己評価   眺望★★★★/達成感★★★/危険度★★★★/疲労度★★★★/総合評価★★★★
     
    

  
     御嶽山(おんたけスキー場下より)                  御嶽山 山頂 (剣ヶ峰)

はじめに

前回の安達太良山で初めての山スキーを体験。本当のオフピステの様子もなんとなく分ったし、やは
り、楽しさは格別なものと感じた。
そして春のシーズンにあと2〜3回は行って見たいと思い、次はどこにしようかと検討し・・・
候補に挙がったのは、やはり東北・上越方面の山だったが、景色のよい独立の高峰に魅力を感じて
いた。
御嶽山は、3,000m以上の標高に加え独立峰で、風も強く、標高差もそこそこあるので、まだまだ真冬
に近いこの時期は、単独行で道具も万全でない自分にとっては、行ってみたいが少し無理かと考えて
いた。

出発ギリギリまで悩んだ挙句、当日の天気の回復が北の方はやや遅れているようなので思い切って
御嶽山に行く決心が着いたのは家を出発する寸前のアメダス&ひまわり画像をチェックした後だった。



山行記

いざ出発・・
御嶽山は関東方面からはアプローチしずらい。が、いつものように日帰りで行くことにする。
朝早く自宅を出発、中央道を飛ばす。
この日は今までの、このルートを走った中でも一、二を争う天気の良さ。八ヶ岳や甲斐駒のモルゲンロ
ートが綺麗だ。
  
 中央道より八ツ (運転しながら撮影)         同じく甲斐駒              御岳ロープウェイスキー場

天気の良さに期待感が高まりながら塩尻I.CからR19で木曽福島へ。この日の朝は冷え込んで、国道の
掲示板は−3〜−6℃を表示していた。それにしてもインターから降りた直後の標識でおんたけスキー
場74kmと出てあまりの遠さにガッカリ。

○ゴンドラが・・・
そして途中、車も少なく順調におんたけスキー場に到着する。駐車場の車の台数はかなり多く既に一番
近い駐車場は満車。早速準備し、チケット売り場でチケットを買おうとしたら「強風のためゴンドラと一番上
の第7クワッドリフトは運行見合わせ」とのこと・・・。えー・・・・大ショック! 確かに前日は風が強くて心配
はしていたが、ゴンドラの山麓駅はほぼ無風なのに・・・

しかし、そこで即、御岳ロープウェイスキー場にTELしリフトの運行状況をチェック。すべて運行していると
の情報を得、すかさず車を飛ばして向かう。隣のスキー場なのに山を降りて登り返すため40km以上あり、
到着後、なんとか登る準備を整えたのは既に9時30分。

事前にこのスキー場の情報も収集済で、御嶽山の山スキーはこちらのコースのほうが魅力があるとのことで、最初はこっちにしようかと考えていたが、登り出しからの標高差の少ない田の原からを選択したのが失敗だったか・・。上のほうが風がそんなに強いとは・・下からは想像出来ない。 

今日はもう登頂は無理かなと半ばあきらめながら、昨年秋の事故で運休中のゴンドラを左に見ながら、リフトを3本乗り継ぎ、ゴンドラ終点の飯森とほぼ同じ所に到着。時計は既に10時を廻っている。 (スキー場山麓の標高は1560m:積雪は140cmで今年は少ないとのこと)

○登高開始
さて、あせらず行きましょう・・・。ゆっくり準備して、いざ出発。 スキー場最高点の標高は2150m。これ
から山頂までは標高差約920mの登り。今回も前回に続き、フリートレックのシール登高。滑走用の板
は担いで登ることにする。。靴は前回靴ズレを起こしたラングに替え、バーゲンで格安で買ったテクニカ
のゲレ靴。軽量で柔らかめ、歩行モードも付いてるので、これを山スキー用の靴にした。(どうも山スキー
用の兼用靴は高いし、素直に買う気になれない・・・ホントはガルモントのG-FITが欲しかったけど・・・)

さて、登り口から、トレースらしきモノはいくつかあったが、ゴンドラ駅の左手から登ることにする。(下りで
分ったが、リフト終点の右手から登ったほうがスムーズに行けたようだ)


登り出してしばらくするとこんな景色
4〜5日前に20〜30cmの降雪があったせいか、最初は樹林帯の軟らかな雪でモナカ状態の所も多い。徐々にシュカブラ状の雪やクラストした状態の雪が出現。結構板がもぐってしまう所が多く登りずらい。

うるさかった樹林も次第にまばらになり視界が開けてくる。そして雪質も徐々にクラストした箇所が増えだす。
先行者のトレースはあるが、あまり人の入りは多くなさそうな感じだ。

樹林が切れると、ブッシュが気になり出すとともに、斜度も徐々に増す。風も右手(北風)から吹きつける
ようになる。軟らかかった雪も硬く締まり出し少し歩き易くなる。上を見ると初めて先行者(3人組)を発見
した。

○シールからツボ足に


雄大さに圧倒された斜面
金剛堂横(2470m)手前あたりからかなり景色が開け、ルンゼ状の左手を登って行く。クラストした雪が多くなったり、吹き溜ったような潜る雪とが交互に現れる。やはりシールだと少し登りずらい。先程見かけた先行者3人組と、もう1組見かけた2人組はピッケルを手にアイゼン歩行に切り替えている。しかし、まだまだアイゼン付ける程の硬い雪ではないし、シールも効いているのでもう少しこのまま行く。
(実はアイゼンもピッケルも持ってきてない)
まあ、登頂しなくても登れるとこまで行こうと・・・

  
     ツボ足登高跡をたどる                 覚明堂                 滑るのが楽しみな斜面

斜度が増しフリートレックでのシール登高をあきらめ(2700m付近)、ツボ足にて登る。アイゼンを付けな
くてもキックステップで充分登れる。

ここで上方からの滑走者を発見。山ボーダー3人組。その後につづいて山スキーの集団8人組も降りて
来た。トレースを見て想像したよりも人が多く入っている。滑りを見てると、雪はかなり硬そう感じだがエ
ッジがまるで効かないという感じではない。
上に石室山荘が見えてくると斜度もかなりキツクなる。息が上がりながらも少しづつ高度を稼ぎ、山荘
に向かって左手から廻り込み、やっと着いたー・・。 小屋は雪でかなり埋まっており、先程先行していた
3人組のテレマーカーは屋根の上に座って休んでいた。ここまで登って滑って降りる人も多いようだ。

○苦しい最後の登り
ここから稜線上の二ノ池が見えるとこまでは、あと少しのように見えるが、更に斜面は急になる。キック
ステップで慎重に登って、右手に覚明堂を見ながら更に登るとやっと稜線の二ノ池の見えるところに着
いた。
    
      稜線直下は急斜面               真っ白な二ノ池              山頂 剣が峰はもう少し・・  

ここから山頂の剣ヶ峰が見えているがトラバースするだけの斜面なのでスキーの滑走という面ではあ
まり魅力はなさそうだが、ここまで来たら、やはりピークは踏んでおきたい。タイムリミットは15時と決め
ていたし、アイゼンも持ってなかったので、途中までは山頂への到達は無理かと思っていた。
しかし、稜線の雪もキックステップでギリギリ行ける位の硬さで思ったほどクラストしていないので、もう少
し頑張り山頂を目指す。空気がかなり薄く感じ、小刻みに歩を止めて息を整えながら我慢して登り、なん
とか山頂に到着!


○最高の山頂

 
          山頂標と方位盤                             一ノ池と白山    

さすがに独立の高峰! 3,000mを超す標高なので眺望は素晴らしい!!かなりの広範囲の山を見る
ことが出来る。

正面に中央アルプス、その上に頭だけ出した富士山、その左に南アルプス、そして、八ッ、更に左に
乗鞍その奥に北アルプスの山々、更に左に白山と有名どころの山はすべて見渡せる♪
ホントに感激の景色。
 
      中央アルプス&南アルプス&富士山                     北アルプス方面 

 
                乗鞍と焼・穂高方面                                    一ノ池・二ノ池と北アルプス        

  
        剣ヶ峰旭館                   山頂奥社                山頂より田の原方面

頂上では時間が遅かったせいか、他に誰も人がいない。ずっとこの景色を独り占めしていたかったが、
あまり遅くなると、スキー場の営業時間を過ぎてしまうので早々に引き揚げる。

○いよいよ大滑走・・・・・・だが・・・
さあー滑走開始。。スキー場の山麓までは標高差が1500mある。

最初はトラバースなので斜滑降で岩を踏まないように注意して進む。

二ノ池横の出だしはかなり急な斜面。登りで会ったテレマーカーは皆ここをアイゼン歩行で下っていて、滑
っていなかった所。(やはりテレだとアイスバーンは滑りずらいのか・・・) 慎重に滑り出すが、エッジはなん
とか効いて、歯が立たないほどでもない。
 
  稜線直下の斜面 (シュカブラとアイスバーン)                 一番気持ち良かった斜面(自分の影が長い)

石室山荘横からは大斜面となり硬いバーンを気持ちよく飛ばす。アルペン競技のコースを造るのに塩を
撒いた硬さとそっくりの感じだ。このあたりの大斜面は最高♪
途中のフリートレックのデポ地点で回収しようとしたら、ない!・・・。場所を勘違いして降りすぎたのか・・
まさか盗まれるわきゃーない・・・。
まだ買って2回目なのに・・・あーあぁ。登って探すのも大変なのであっさりあきらめ、更に滑り降りる。

金剛堂横を過ぎブッシュの多い場所を過ぎたあたりでなんとなく降りる方向が違うような気がして、良く
確認しないまま、ひとつ左側の尾根を下って行く。しかしこれが大間違い・・・・・。

○そしてとんだアルバイト
少し下ったところで急に斜度がガケのようになり進めなくなる。「しまった、間違ったか・・」
地図でよく確認すると、最初に降りていた尾根で合っており、完全に降りる所を間違っていた。

これはヤバイ・・・。焦って沢に降り、隣りの尾根に登り返そうとしても、柔らかい雪で腰まで埋まりラッセ
ルしないと登っていかない。僅か2〜3m進むのに1分位かかる。しかもこの1分が10分位に長く感じる。
見た目には大した距離と標高差ではないが、僅かしか進まないのでかなり焦る。
こんな所で遭難したくない・・・(少々大げさ)
少々冷静さを失っていたので、まずは落ち着いて・・・・、雪の硬そうな場所を選び、焦らず確実に歩を進
める。状況に応じて板を履いたり、ツボ足になったりして、少しだけ進むと今度は、軟らかな雪の下がカ
チカチに凍っていて滑る滑る・・必死のキックステップで登り50分後にようやく元の尾根に戻ることが出
来た。はー・・・とんだアルバイトをしてしまった・・・。しかし、明るいうちに戻れてよかったよかった・・・。

元の尾根の戻り、樹林帯の中を滑るが、今度はモナカ雪地獄・・・ターンが出来ない。。木にぶつかりた
くないので見栄を張らず斜滑降・シュテムターン・横滑りで降りる。ジャンプターンをやろうとすれば木に
激突しかねない・・・。とんだアルバイトと、この雪で足がガクガクになったところでスキー場上部に到着。

○誰もいないスキー場を大暴走
  
  スキー場最上部リフト終点(誰もいない)       お疲れ様でした             御嶽山の上に太陽は沈む・・・      

時刻は既にスキー場のリフト営業終了の16時30分を廻っていた。当然誰もいない。
さてと・・・誰もいないのをいいことに大暴走♪ 最後の力を振り絞って、直滑降に大パラ・・そして下まで
わずか3〜4分で降りてしまった。。最後にパトロールに会ってしまったが何も言われなかった。。

ホッとして一服しようとお茶でも飲もうとして驚いたのは、ザックの外にしまってあったペットボトルに入っ
ていたウーロン茶を飲もうとしたらシャーベット状になっており、暖かいと思っていたこの日も、日差しの
せいでそう感じていただけで、気温はかなり低かったようだ。

いろいろ拙いことがたくさんあってヘトヘトになったが、面白かったというか何ともいえない快感&充実
感。マズッたことを割り引いても楽しかった。

帰り道は途中で「一竹」というお店(R19より5km位スキー場方面に入った所)で、そばを食べたが、これ
がすごく旨かった。 久しぶりに旨いそばを食べて満足して、また長い道程を居眠りに気をつけながら運
転して帰った。中央は空いていて意外に早く無事帰れた。



おまけ
やはり天気の良い日の山は、最高だった。しかし、さすがにこの時期の3000m峰は甘く見れない。
独立峰だけあって、移動性高気圧が真上にあっても風は強い。気象条件によってはさらに厳しいの
だろうと思った。
さすがに雪は上部は硬く、下はモナカだったが、硬めの雪も結構好きで気持ちよく滑れた。
しかしモナカ雪は、特に樹林帯だと、どうしようもなかった・・・。(広い所ならジャンプターンとか試した
かったが・・・)

今回は反省すべき点がかなりあり、勉強になった。特にルートファインディングには充分注意しないと
単独行では命取りになるということ。

あとはアイゼンを持たないで行ったことは、ピッケルも無いなら、かえって付けると滑落時に引っ掛け
て危ないので、アイゼン無しで登れるとこまで行こう、というつもりで行ったがやはり道具は万全でな
いとマズイだろうな・・・。
ただ、キックステップで登れないようなクラスト雪だとスキーを履いても歯が立たないだろうし、面白く
ないだろうな、ということは過去の経験からも改めて感じた。
またまた、道具を考えながら、次の山スキーの計画をしていかねば。

まー、いろいろあったけど、とにかく、達成感充分で楽しい山行だった。


    
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