山 行 記 録 No.149-1  

剱岳(2999m)大脱走ルンゼ 山スキー

【日程】 2008年 4月 30日(水)   【メ ンバー】  TAKU・お気楽 2名
4/29   自宅 →   扇沢 →  室堂  → 雷鳥平  → 剱御前小舎 →  別山  → 剱御前小舎
晴れ 
  2:25    6:40/7:30  9:10/9:32  9:55/10:10  11:43/14:04  14:37/15:03    15:34 
後曇り
4/30  剱御前小舎 → (剱沢滑走) 長次郎谷出会 →  長次郎のコル  → 剱岳山頂 →  
快晴        5:26                5:46/6:12       9:55/10:48    11:30/12:12  
      (大脱走ルンゼ滑走)→ 平蔵谷出会→(平蔵谷滑走)剱沢出会 →  剱御前小舎 →
 
                      12:40/12:50         13:10/13:48   16:01/17:30  
       →(雷鳥沢滑走)雷鳥平  →  雷鳥荘

                17:42/17:56     18:24

5/1    雷鳥荘 →   室堂  →  雄山山頂(御前谷滑走) →   黒部平 →   黒部湖湖畔 →
晴れ 
   7:50     8:14/8:34    10:59/11:28              12:49     13:02/13:36  
後曇り   黒部ダム →  扇沢  →  自宅
       13:50/14:05   14:20     20:30
自己評価  眺望★★★★★/達成感★★★★★/危険度★★★★/疲労度★★★★
     
  総合評価★★★★★  
剱岳 剱沢小屋上より 剱岳山頂より剱沢・立山方面

はじめに
GWは11連休!。後半は混みそうだし、奥様孝行もしなきゃいけないのでやはり中間の平日の空い
てる日狙いで出掛けることに。やはり3日間あるので普段行けないとこ・・ということで、今回は
相棒TAKUちゃんのかねてから希望の剱に登り、山頂から真っ直ぐに平蔵谷に滑り降りる大脱走ルン
ゼを滑る事に!
勿論自分も剱・立山界隈でゆっくり遊んでみたかったし、泊まりで山スキーに出掛けるのも何と初
めて!
剱は百名山巡礼のひとつで最後に残しておきたかったが、去年のうちに99座に達せず今回行く事に
なった・・(ま、順番にはあまり拘ってないけど)
しかしクライミングはど素人なので、この時期の剱に登れるのか不安・・。大脱走ルンゼの滑りも
不安だがそれ以上に山頂に辿り着けるかが問題。。
GWは昨年・一昨年と天気に恵まれなくて敗退やら計画変更を余儀なくされたが、今年は如何に・・



山行記

4/29(1日目)

当日は朝一の始発のトロリーに乗るべく早めに出発、途中TAKUちゃんと合流して扇沢へ。駐車スペ
ースは全く問題無く駐車。天気もまずまずか。
始発のトロリーで出発し、途中臨時のケーブルやらトンネルバスも出て予定より20分早く室堂に到
着出来た。

扇沢 真っ白で眩しい室堂

室堂はさすがに多くの観光客やらBCに出掛ける人々で賑わっている。
早速剱御前小舎目指して準備して出発!
まずは室堂山荘脇から雷鳥平へ滑り込む。荷物が重くて滑りが難しく先行きが心配。。

雷鳥平へ滑り込む 雷鳥沢の登り

ここでシールを貼って登りに。寝不足で体調悪く、なかなかピッチが上がらない・・。
この日は真砂沢を滑ると張り切っているTAKUちゃんには悪いがゆっくり登らざるを得ない状況。
今年は雪が多いようで御前小舎までは雪が完全に繋がっておりシールで全て登れた。

御前小舎への最後の登り 剱御前小舎

別山乗越は思ったいたより気温が低く、小屋の前の温度計は−1℃。早速受付を済ませ部屋に入る。
風もあって寒いので小屋の談話室のストーブで暖を取る。真砂沢に行こうとTAKUちゃんに誘われた
が、頭痛がして寒気もしてあまり行く気になれず翌日の長丁場に備えてパスした。
TAKUちゃんは一人で真砂沢に向かい、自分はストーブの前で昼寝♪

しかし、これから夕食までの時間も長いので別山まで登って軽く剱沢にでも滑り込もうと14時を廻
ってから出掛けてみた。

剱御前小舎前からの剱岳 別山 山頂祠

しかし登り出してすぐに急にガスが出始め山頂は完全にガスの中。しばらく待ってみたがガスは切
れず・・残念ながら少し下り始めた所でガスが切れ始めたので山頂手前のコルからドロップ。
あっと言う間に剱沢が間近に見えてくる。あまり登り返すのもイヤなのですぐに左にトラバースし
て、小屋まで僅かに登り返して終了。体調不良につきちょうどいい足慣らしだった。

夕方になり夕食が始まったころ真砂沢に行ったTAKUちゃんも無事戻る。結局真砂沢ではなく別山沢
を滑ってきたらしい。
小屋は空いてて8人部屋に2人だけだったが、かえって夜は寒くて頭痛はするしあまり眠れなかった。
翌日がかなりヤバイ位の体調が気になる。。

4/30(2日目)
朝食が6時半からだったので朝は弁当にしてもらい5時には出発するつもりだったが寒くてモタモタ
してたり、出発準備整ってからモヨオシテきたりで・・結局5時半近くになっての出発に。。
心配していた頭痛もかなり軽くなったのでホッとした。。

朝の剱沢は快適な斜面。少々硬めで斜面も荒れてない。3月の朝のスキー場のようだ。
準備運動にはもってこいの快適バーンを滑り、途中平蔵谷を観察。デブリが多いので苦労しそう・。
そして長次郎谷出会でストップ。ここでシールを貼って登りの準備をする。

朝焼けの剱岳に向かって滑る 早朝の剱沢を快適に滑る♪

長次郎谷は最初は少し暗い雰囲気だがすぐに明るく開ける。
デブリはあったが谷を埋め尽くすようなものではなかったので避けながらシールでの登りとなる。

徐々に高度を稼ぐが、途中熊ノ岩前後をどう登ろうか・・正面の最短ルートはデブリが邪魔、左側
は斜度がキツイ・・。結局熊ノ岩の右から巻いて上に出る作戦にしたが、デブリが邪魔にならず、
シールで丁度いい斜度だったので正解だったかもしれない。
途中で源次郎尾根に乗るか、谷をそのまま詰めてコルまで行くかを検討したがコル直下にステップ
が切れてるように見えたので、こちらに決定。

長次郎谷下部 長次郎谷中間部の登り

長次郎谷は暑さのせいで雪もかなり緩んで、コル直下までシールのまま詰めることが出来たが最後
は僅かだけツボ足に切り替えたが、ツボ足だとグサグサ雪で膝まで沈むので歩き難い・・。
最後は板を両手で押さえて四つんばいで足が潜らないようにして登り切った。
この日は後続組が3人登ってきただけで静かな谷だった。

コルでは反対側の毛勝方面がちょっと見える。ここで調子のイマイチ上がらないTAKUちゃんを待って
大休止。アイゼンを付け、これから登りの核心の雪壁に備える。

心配していた雪壁は先行の北方稜線を歩いて来た2人組はなんとかフリーで登っていたので、自分達
もなんとかなりそうだが、かなり急な長い登りの壁なので緊張する。

長次郎コルより雪壁 雪壁最上部を登る(かなりの高度感)

TAKUちゃんが到着してすぐ準備して先に行ってもらい後から登る。さすがに高度感抜群で緊張。
1歩1歩確実に・・ピッケルも思いっきり突き刺し慎重に登る。雪が緩み過ぎてたので蹴り込む雪
も崩れ易い。
なんとか登り切った所でアイゼンを見るとつま先を入れるリング状の押さえの根元が折れている。
もう僅かな緩やかな登りで山頂なので良かったが途中ならヤバかった・・。

山頂に到着 山頂にて後立山をバックに記念撮影

雪壁を越えると景色もドーンと広がり稜線を緩やかに登って山頂へ・・
やや霞んでいたのが残念だがそれでもさすがの景色で360度のパノラマが広がる!
風も穏やかで最高の日和に恵まれた♪
雪が多いのか祠は全く見えない。

山頂より毛勝方面 山頂より八ッ峰&白馬三山方面

さて、誰もいない貸切の山頂で景色を充分楽しんだ後は滑走準備。
山頂からは滑走ルートは全く見えないが山頂から板を履いて滑るのが山スキーの醍醐味!

板を履いて源次郎尾根方面の南東寄りに少しだけ滑るといきなり先が見えなくなって緊張感が高ま
る!
急な斜面の先を覗き込むとやや右に大脱走ルンゼのほぼ全貌が見える!
やはりかなりの急斜面だが雪は緩んでいるし、幅があって広い!。
これなら滑走は慎重にコケずに行けばなんとかなると思って少しホッとした♪

最初は先がどうなってるか良く見えない 左前方が源次郎尾根、右が滑走ルート

改めて少し気合を入れ直して自分が先にドロップイン!。最初は源次郎尾根方面に少し逃げながら
様子を窺ってから入る。
こういう急斜面は最初のターンのきっかけからフォールラインを向くまでのの動作がスゴイ緊張感
に溢れるが、一つターンを仕上げればあとは緊張感が一気に薄れる・・。

山頂直下からの大脱走ルンゼ

斜面はやはり急だったが広いので開放感があって滑る場所を選びながら滑れるのがいい!

ドロップ直後 (滑走者TAKU)

少しクラックの入ってる場所もあるので慎重に行く。

ルンゼ中盤の斜面 (割と広い)

ターンを切る度にスラフが起こるので巻き込まれないように様子を見ながらの滑りとなる。

この辺りが一番急!

スラフが起きた後は縦溝が走って滑り難いが少し安心して通過出来る。

ノドは狭くクレバス走る (ここが核心!)

最後のノドの部分が核心!

スラフが集まって来るし、縦溝とミニデブリとクレバスシュルンド有で一気にも行けず、逃げ
場所も少ないので上を気にしながら大汗掻いて通過!
平蔵谷に合流して広い場所に逃げて休憩したいとこだが平蔵谷はデブリが多く安全な場所まで
行くのに少し時間がかかった。

大脱走ルンゼを振り返る 平蔵谷の安全地帯に抜ける!

デブリだらけの平蔵谷をバテバテで滑って剱沢出会いまで一気に行き、ここで大休止。

これからの登りに備えて腹ごしらえしたら眠くなってついついゆっくりしてしまった。

剱沢出会いにて再びシールにて登り返しに備える 剱沢の登り

剱沢の登りはトレースを辿ってなるべく雪の踏まれた所を選びながらの登り。
シールで登るのにちょうどいい斜度。

剱に見送られての登り(後続組のサトコサン?) 除雪中の剱沢小屋

途中旧剱沢小屋跡地で少し休憩し再び登る。その後なんとかバテずに御前小舎まで戻ったが・・・
同行のTAKUちゃんが来ない。。
後から来ていた3人組のグループ先頭の女性の方と話をしたら長次郎谷の後続3人組の人達だった
らしい(後で分ったが3人組はきむっちとかと山スキーで交流のあった常吉さんグループだった)
やはり山スキーの世界は狭いですね〜・・。

結局TAKUちゃんは風邪の病み上がりが影響か?前日の張り切り過ぎが原因か?だが、高山病のよう
な症状が出てしまい1時間以上遅れて到着。
雷鳥荘まで行くのは体調面と時間を考慮するとちょっと無理そうな雰囲気・・。
ただ本人は這ってでも行く!と言ってるので、多少高度が下がれば少し楽になるかもという期待と
雷鳥荘での温泉と暖房の効いた暖かい部屋が待ってると思うとなんとか我慢して雷鳥沢を滑ること
にした。

最後の登りに備える 雷鳥平のテン場と滑ってきた雷鳥沢

しかし、なんだかんだ言ってもヘロヘロながら滑りになると別。雷鳥沢はあっと言う間に滑り降り
最後の登り返し。(Tバーに乗りたかったが・・既に終了)最後に一応シールを貼り直して登り、
夕焼けの美しい中、暗くなる前に雷鳥荘に到着。しばらくしてTAKUちゃんもなんとか到着。。
一時はどうなるかと思ったがホッとした・・・。

大日岳に沈む夕陽 雷鳥荘に到着♪

やはり雷鳥荘は最高!
暖かい部屋と温泉は最高で、ビールも旨い・・♪

剱登頂&大脱走ルンゼの滑走成功をささやかに祝った♪

今回の滑走ルート全貌(前日別山付近での撮影写真)



翌日(5/1)の立山御前谷に続く

 

あとがき
何も言う事はありません。
天気に恵まれて最高でした。

楽しい剱でした!いい山でした。満足です♪

○今回のGPSルートデーターはこちらです。あくまで参考程度に御覧下さい。
(一部ログが正確に拾えていない所あり、又余計な線も入っちゃってます)


※御注意
・言うまでもありませんが、このコースは非常に危険なコースです。
安易な気持ちで入り込むのは止めましょう!。事前に充分な準備とコンディションの見
極めが必要です。


・ご存知かとは思いますが、剱岳のこのルートは「富山県登山届出条例」で定められた
「危険地区」に該当します。
12月1日から翌年5月15日までの期間は20日前迄に登山届を提出する義務がありますので
御注意下さい。
今回は「eとやま.net」で申請、後日スタンプを押されて郵便にて返送されました。
(申請はTAKUちゃんにやってもらっちゃいましたが・・)

 


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