山 行 記 録 No.117  

幌尻岳(2052m)

【日程】 2006年 9月 8日(木)〜9日(土)(山行日)  【メ ンバー】 TAKUさんMINMINさん・お気楽 3名
1日目    自宅(電車) → 羽田空港(飛行機) →  千歳空港(車) → 額平林道 仮ゲート → 林道 本ゲート
晴れ後    4:35           6:17/6:55                                    12:20/12:45              13:20  
曇り
       →  取水ダム →  渡渉開始点  →   幌尻山荘(泊)
              14:34      14:55/15:15         16:40      
 
2日目    幌尻山荘 →   命の水  →  幌尻岳山頂 →  命の水   →  幌尻山荘  → 渡渉終了点
晴れ   
   4:20            5:38/5:50        7:27/8:12        9:33      10:37/11:22    12:46/13:06
           →  取水ダム  →  林道本ゲート →  林道仮ゲート → 千歳空港
 → 支笏湖畔
               13:24         14:50          15:25        
3日目    支笏湖畔(車) →  千歳空港(飛行機) →   羽田(バス) → 自宅
        7:20                                           12:50          
自己評価   眺望★★★★/達成感★★★★/危険度★★/疲労度★★★/総合評価★★★★
     
    
額平川の渡渉 穏やかな幌尻岳上部

はじめに
百名山の中で一番アプローチに難のある山と思われる幌尻岳。北海道に一時住んでいた時は日高の
山の名前はあまり知られてなくて、一般人はあまり馴染みがない山という印象。

登るのも面倒なことが多いので最後まで残す人も多いがそれもなんだし・・と思い、今年はチャン
スあれば行こうと山スキー相棒のTAKUちゃんと去年から話をしていた。行くとすれば航空運賃の安
いのを、ということでJALのおともdeマイル(自分はマイルを使い・同行者は片道\12,000)を使う
予定だったが、7月中旬〜8月下旬の夏のピークシーズンは使用不可なので7月上旬に羊蹄山と合せ
て行こうかと話をしていた。
しかし、7月の1〜2週目は札幌便がかなり混んでいて週末は席が取れず、9月にでもと思ってたが渡
渉で水が冷たいんじゃないかというTAKUちゃんの意見もあったが、9月の北海道は前半なら気候は安
定してるしギリギリ大丈夫と思い、記録を調べてみたら9月中旬位まではなんとか大丈夫だろうと確
信を持った。お盆明けから席が取れそうか調べてみたら、9月の1週目と2週目はなんとか取れそう。
1週目は用事で都合が悪いので2週目に・・。ちょっと急な話だがダメもとでTAKUちゃんに行くか?
と聞いてみたら「行く」とのこと。

最大4人まではと、他にも声を掛けてみたが結局2人で行く事になり、予約やら準備。
と、声を掛けて返事が無かった?MINMINさんはメアドが変わってメールが流れてなかった事が判明。
急遽参加になったがJALの安い運賃は既に一杯、同じ時間帯のスカイマークで千歳空港で合流、幌尻
だけ一緒に行く事になった。

ところが幌尻山荘の予約はちょうど9月10日まで一杯。TAKUちゃんのテント持参で行くかと考えてい
たが、その頃は8月19日の大雨で林道も不通・・。何かと障害が多い。(その後林道は8月25日開通)
幌尻山荘は定員制で50人限定でテントは原則禁止らしいが、テント持参で行ってしまってなんとか
するしかない・・それか直近の予約の人が予約金の振込期日1週間前迄なので、その頃再度予約状況
を確認してみるしかないか・・。テントでも小屋泊でも\1000取られるらしいし。。
最悪はそのままGO SHOW!・・だな・・。


山行記
1日目
当日は羽田6:55出発。羽田前泊無しで、その日の明るいうちに幌尻山荘まで行くにはこの便しかな
い。羽田でTAKUちゃん、千歳に到着後スカイマークで来たMINMINさんと合流して格安レンタカーで
登山口仮ゲートに向かう。(レンタカー事務所が遠くて、手続きして出発まで少し時間がかかった)

R36を苫小牧東IC、その後日高道に入ってから念のため平取町山岳会に幌尻山荘の予約の空きを確認
したところ「空いてる!」との答え。ラッキー!この日は団体が1本キャンセルとなり40人程度の入
りらしい。一同重い荷物の心配をしなくて済んでホッとしている。

途中、富川のスーパーでガスボンベや食料を調達、山荘の宿泊料\1000×3名を富川郵便局で早速振り
込み、運転を交代しながらスピード違反に気をつけて走るが、やはり1箇所ネズミ捕りをやってた。
(前にノロノロの軽がいてセーフ!)

額平川の林道に通じる道は振内から豊糠に通じる道が通行止めなのでR337の糠平橋を渡ってすぐ右
折して貫気別を通るルートを取る。悪路だという評判の林道は噂と違い凸凹も少なく走り易い。2〜3
箇所工事している近辺で腹を擦るような場所はあったが、あとは40〜50kmで走れるので全く問題無し。
昼過ぎに仮ゲートに到着。ちょうどすぐ後に車2台到着していた。駐車場は10台程度、やはりレンタ
カーが多い。
額平林道仮ゲートと駐車スペース レンタカー&出発準備中

早速急いで準備して出発。渡渉に備えて濡れてもいい格好に・・。ユニクロのドライコンプレッシ
ョンスパッツに着替えた。(ちなみにその下はノー○ンです 笑)

日没前に夕食まで終えておきたいのであまり時間的な余裕は無い。天気はやや曇が多いが雨の心配
は無さそう。
まずは長〜い林道歩き。本ゲートまでがかなりムダ。本ゲート前までの道路は全く問題無いが本ゲ
ート前の駐車スペースは7〜8台程度なので車を入れないのか・・、そのうち今の仮ゲートが本ゲー
トになるかもしれない。
林道本ゲート(帰路に撮影) 取水ダム(帰路に撮影)


更に林道を延々と歩いて綺麗な鉄製の橋を渡ると右側に建物が見え、その奥に取水ダムがある。
ここまではマウンテンバイクでもあるとかなり時間を短縮出来そう。。

取水ダムからいきなり梯子を降りて川の右岸側を歩く。途中へつって行く際どい場所があってMIN
MINさんは苦戦していた。最初の渡渉地点はダムから20分弱で到着。地図上ではもっと先のような
記述だったが、道が変わったのかもしれない・・・。
最初の渡渉点で準備 TAKUちゃんは地下足袋

ここで靴を履き替える。自分はいろいろ悩んだがスニーカー、TAKUちゃんは地下足袋、MINMINさん
は沢靴と三者三様。渡渉は水はやはり冷たいが痺れるような冷たさではない。水位は膝下程度でラ
ッキー!。ダブルストックでコケないように慎重に行く。
自分はスニーカーで・・ 渡渉シーン(帰路撮影)

最初の4回の渡渉を終えるとしばらく右岸の道を歩く。結構高巻いたりでアップダウンがあって歩
き難い。そして右岸〜左岸〜右岸の繰り返し。必ずしも目印の赤布を真っ直ぐ渡渉するのが浅い所
とは限らないので、良く左右を見ながら流れの緩い浅い所を選んで渡渉するが、あまり人の通って
なさそうな所は岩が滑りやすいので注意が必要。
途中河原の広くなっている場所で小休止してまた歩く。また暫く渡渉を繰り返すと最後は進行方向
右手の左岸側(右手)に幌尻山荘が見えてくる。渡渉回数を数えたら23回だった。(川の状況によ
って変わる可能性もあります)結局膝下の水量だったので身につけている物は靴以外は何も濡らさ
ずに済んだ。。しかし腰の調子がなんとなく悪いのが心配だ・・。

幌尻山荘 山荘前にはブルーシートが敷いてある

幌尻山荘で受付を済ませ、敷き布団用の毛布を1枚借りて寝る場所も割り当てられる。1Fの入口付近
だったが3人充分なスペースで一安心。(寝る時は余った毛布をもう一枚敷いて快適だった)

すぐにそれぞれ夕食を作り始める。TAKUちゃんは何やらいっぱい作っていたが、自分は山に入ると
食欲が落ちるのであまり食べない。コンビニで買った缶チューハイで乾杯して1杯だけ飲んで、サン
ドウィッチとおにぎりと味噌汁だけ。お湯をちょっと恵んでもらって終了。
小屋は団体さんが2本入っていて賑わっていたが消灯が19時と早いが、朝が早いのでちょうどいい。

夜は団体さんも静かでまずまず良く寝れた。


2日目

朝は3時過ぎに起床。満月で明るい夜空にもかかわらず、星がいっぱい出ている。新月の時ならさ
ぞかし綺麗な星空かもしれない。
朝食は味噌汁とMINMINさんに恵んでもらったお茶だけで済ますが、2人はきちんと食べている・・。
サブザックに飲み物と雨具だけ詰めて予定より少し遅れて出発!。
最初はヘッデンをつけながら樹林帯の急登。熊避け鈴を鳴らしながらの登りだが、まだ暗い時間帯
なのに蒸暑い。ちょっとペースが速いのか汗が一気に噴出し、ノドも乾く。あっという間に500t
程飲み物を飲んでしまう・・。一応2リットル水は持ってきたが足りなくなる心配も・・。
命の水入口の標識 展望が開け明るくなってくる

命の水の看板の所で2回目の休憩。水を汲み足そうか悩んだがそのまま出発。ここから先はまた急登
でハイマツ帯を登る。景色がかなり開けて来て日の出の時間と併せて展望が更に広がっていく。
ハイマツはかなり道にせり出して漕ぐこと多く、朝露でかなり濡れてしまった。

ハイマツ帯の登りと左は紅葉した北カール ウラシマツツジ?の紅葉

稜線に出て幌尻の姿を初めて?見る事が出来た。稜線は既に紅葉が始まっており、幌尻の北カールも
草紅葉になっており、なかなかいい雰囲気♪。天気は快晴かと思われたがガスの沸くのが早く、幌尻
山頂は時折ガスがかかり始めた。

紅葉した稜線の小ピーク 稜線の草紅葉

稜線の傾斜の緩くなった道をゆっくり登って行く。途中リスが顔を出したりする。最後はガスも晴れ
た無風の山頂へ・・
山頂は誰もいない様子で我々が一番乗り!。穏やかな天気で周りは360度雲海♪。
幌尻山頂で記念撮影 同じく山頂より

日高や大雪の山々の展望が無いのは残念だが、自分のいる山頂付近だけ晴れているという満足感に浸
る♪。ここまで来て天気が悪いとガッカリだがラッキーだった。

ゆったり朝食のパンを食べながら雲海を眺める。

山頂より戸蔦別岳方面 同じく山頂より南東の日高山脈稜線方面

山頂で休んでいると後から何名か登って来る。混雑する前に下山にかかることにする。七ッ沼カール
を見てみたいという気持ちもあったが、そのまま来た道と同じ道を戻る。

下りで顔を出したリス 北カール

途中、小屋に泊まっていた団体さん2本とすれ違い、北カールの景色を眺めながら稜線のハイマツ帯の
急降下。長い下りに・・結構登ってきたもんだなと感心しているうちに、ようやく命の水の看板の場
所に到着。命の水がどんなとこか興味があったが、幸い水も足りそうなのでそのまま下る。延々と続
く下りに膝の調子が悪くなってきたので、歩くペースに落として下る。次第に沢の水音が大きくなっ
てくると小屋が視界に入る。

紅葉し始めた景色を眺めながら下山

やっと長い下りが終わって小屋に着いて休憩&渡渉・下山のためザックのパッキング。川の水量も大
した事無いので、帰りは荷物も防水のためのビニール袋はあまり厳重にはかけない。

幌尻山荘に戻る(靴やタオルが一杯干してある) ブルーシートの上で再度パッキング

また重い荷物を背負って下山&渡渉していく。下りはもう勝手が分かってきたので余裕も出てきた。

渡渉が終わるとまた靴を履き替えることになるが、スニーカーで渡渉した自分は林道歩きはそのまま
スニーカーの方が楽そうなので履き替えずに行く。

取水ダムを過ぎると長〜い林道歩き。最初はMINMINさんが爆裂トーク?(笑)をしながら歩いていたも
のの次第に口数が減る・・そして徐々に遅れだす。膝の調子が悪いらしい。かなりペースダウンして
歩いていたが、それでもかなり遅くなって具合悪そうだった。なんとか仮ゲートに辿りつき幌尻の歩
きも終了。。
やはり長かったが満足♪。。

無事渡渉終了! やっと仮ゲート横の駐車場に到着

さて次なる翌日の目的地は羊蹄山。
前から天気予報が悪かったが気になるところ・・携帯の通じる場所まで移動して天気サイトで確認す
るも相当悪い・・。
午前70%・午後90%とかの予報で低気圧が北海道直撃パターン。これじゃ登るのは無理か・・

夜行列車で青森に移動して八甲田に転戦予定のMINMINさんも予報が悪いので、あきらめてそのまま千
歳から最終便で帰ることに・・。
千歳まで急ぎ移動して千歳市内で夕食後MINMINさんを空港に送り、TAKUちゃんと自分は支笏湖畔の宿
に泊まる。苫小牧市営の樽前荘というライダーハウスで宿泊費はなんと\1200。寝具は無しで相部屋だ
が綺麗で居心地は山小屋よりは遥かに快適で自炊場所もある。
翌日の天気に僅かな期待はあったが予報より早く夜には雨が降り出し、翌朝も雨で風も強い。。
羊蹄山は完璧にあきらめて飛行機は朝の便に変更して帰ることに・・・
結局お昼過ぎには家に着いてしまい今回の北海道遠征は終了。。


あとがき

幌尻のネックはアプローチと渡渉と宿泊場所(幌尻山荘)だと思う・・・。

アプローチは金額・日数に応じて飛行機やフェリーやらいろいろな方法があるが関東からなら飛行機
を使えば1泊2日は充分可能だし、現地日帰りも可能だろう。(出来れば予備日を含めて余裕を持っ
た日程がいいですが・・)
道路情報を事前に良く確認しておく必要有。今回は振内からの道が通行止めの情報を良く知らずに出
かけて1日損した人もいた・・。

渡渉は水量がどうなのか??やはり事前に良く確認しておいたほうがいい。過去の降雨量は気象庁の
HPとか河川の水量は国土交通省の情報等を参考に出来る。大雨の可能性があると足止めを食うので登
るのは見合わせた方がいいし、出来れば予備日も必要か・・
【情報は↓の幌尻岳登山2052のHP こちらで大半の情報がリンクしていて得られます】
http://www5.ocn.ne.jp/~biratori/


渡渉用の靴はいろいろな人がいたが、場所を選べば別に大して滑らないのであまり神経質になること
はないと思った。
これから沢をやる人なら底がフェルトの沢用靴を買うのもいいが、高いのでありあわせのジョギング
シューズで充分だし、渡渉が始まってからも意外に川岸の歩きや登り降り・へつり等があるので、ワ
ラジや足袋は軽いのはいいが、底が薄いのでこの部分が歩き難い。この点でもジョギングシューズが
有利だが川の砂が靴の中に少し入ってしまうのが唯一難点か・・。あとストックは必ずダブルで使う
ようにして転倒だけは避けたい。

幌尻山荘は完全予約制になっており、9月なら空いていると思ったが・・とんでもない!。9月でも上
旬はすべての日が×。幕営も原則禁止なので予約はシーズン受付開始の早い段階で必要・・・。但し
1週間前からキャンセルで空いてくる可能性も有の様子。。日の長い時期で足の速い人なら日帰りも可
能だが林道ゲートが以前より手前になっているので往復1時間強は余計にかかる。

百名山はすべて日帰りか営業小屋泊まりの食事付きで踏破と考えていたのだったが幌尻山荘は管理人
はいるが実質避難小屋。テント泊にならなかったのですべて小屋泊まりは継続中(笑)。かなりお気
楽軟弱に徹してますが、ご年配や体力の無い方には御理解していただけるかと思います。
(勝手な解釈ですが・・)


今回は羊蹄山は残念だったがまたの機会に・・。(いずれ山スキーでも来る機会はあるでしょう・・)