山 行 記 録 No.61 A  

水晶岳(2986m)・赤牛岳(2861m)

【日程】 2004年 7月 23日(金)〜25日(日)   【メ ンバー】  リーダー・NT君(2日目途中まで)
1日目    新穂高 → わさび平小屋 →  秩父沢 →  鏡平小屋 → 弓折岳山頂直下 →  双六小屋 →
晴れ後   4:33        5:33/5:44        6:42/6:52        8:39/9:00     10:01/10:10       11:10/12:20  
曇り
      三俣山荘(泊)
          14:50     
 
2日目    三俣山荘 → 黒部源流 →  岩苔乗越 → 水晶小屋  → 水晶岳山頂  →       温泉沢の頭
晴れ後   
 5:04          5:30/5:33       6:43/6:50       7:47/8:06     8:35/8:40(途中休憩15分) 9:43/9:45  
曇り        2742mコル   →    赤牛岳山頂  →  奥黒部ヒュッテ 

        10:16/10:25        11:42/11:47         16:25        
3日目    奥黒部ヒュッテ → 平ノ渡し(針ノ木谷) → 平ノ渡し(平ノ小屋) →  御山谷 →  ロッジくろよん
曇り後雨     3:50          5:55/6:20                6:30   (途中休憩20分) 10:00/10:05   10:35/11:00  
後晴れ   黒部ダム(バス) → 扇沢(バス) → 薬師の湯(タクシー) → 信濃大町駅(電車) → 自宅 
        11:35/12:05      12:15/12:25    12:45/13:30           13:40/14:02        18:20  
自己評価   眺望★★★★/達成感★★★★/危険度★★★/疲労度★★★/総合評価★★★★
     
    

前半より続く

2日目水晶岳より


水晶岳山頂は自分以外に他の人は3人しかいない。景色を眺める時間がたっぷり欲しいが、先が
長いのと直射日光が強いので山頂最高点から少し降り三角点のある山頂を巻き、少し進んだ岩場
の影で朝食(小屋の弁当)とする。
西側に向いた場所で正面に薬師岳、眼下に高天ヶ原や雲の平も見渡せる所♪ 勿論誰も通らない。
ここで、ひとつドジ発覚!!水晶小屋でペットボトルの水500ccを置き忘れてしまった。先が長く
て暑いのに・・しかし2Lはまだあるんで大丈夫だろう・・。赤牛に向かう稜線の道はアップダウ
ンはあるが緩やかな道で眺望を存分に楽しみながらゆっくり歩く♪ ペンキマークはしっかりつい
ており道も悪くない。

水晶岳山頂

水晶池(水晶岳より)

水晶岳(温泉沢の頭付近より)

温泉沢の頭で高天に降りる道と分岐、赤牛の姿は徐々に大きくなっては行くが遠い。まだ3つ位
の小ピークがありそうか ・・。それにしても暑い。太陽光線は強烈だし稜線なのに風が無いので
よけいに暑さも増す。水も思ったより減ってきたので 途中の小さな雪渓に降り雪を食べる・・。
旨い! これを2回程やったけど腹こわすといけないのでほどほどにしておく。。
水晶−赤牛の最低鞍部で休憩していたところ後ろからなんと登ってくる人(60才前位のオジサン
)がいるではないか・・。しかも速い足取り。抜いていく時に言葉をかわしたが、なんと黒部五
郎小屋を朝5時に出てきたそうで、これから奥黒部ヒュッテまで行くそうだで、昨日は折立から
太郎平に登り薬師ピストンして黒部五郎小屋までだったそうで恐るべし健脚。2時間の差を既に
追いつかれている。。 「今日は夕立があるから早く歩いたほうがいいよ」と笑いながら言われ
「はいはーい」わかってますよー。といいながら、あっという間にその姿は小さく・・・こちら
も付いて行こうとするが無駄な努力だった(苦笑)この場所で水晶小屋から赤牛ピストンに行っ
た最後の二人とすれ違い、あとはいよいよ誰もいない道になりそうだ。。

温泉沢の頭より赤牛岳

温泉沢分岐より薬師岳

稜線コルより赤牛岳

赤牛までの道は稜線伝いで大きな岩あり砂状の道ありだがペンキマークを忠実にたどれば問題な
く踏み跡も多い。そろそろ赤牛の山頂に近付いたかなという所で徐々に雲が多くなって、次第に
周囲の山の山頂に近い所が雲がかかってくる。特に向かっている北の方向が雲が多い。休み休み
重い足取りで最後は左側から巻くように山頂に着いた。もう一つ先のピークが山頂らしく見えて
いてそっちが山頂だと思っていたので、最後はなんとなくあっけなかった。

赤牛岳山頂

水晶方面を振り返る

裏銀座方面

山頂は少し広いがやっぱり誰もいない。さっき抜いていったオジサンも既にいない・・、自分ひ
とりの山頂で景色を満喫するはずが雲が・・。途中の稜線で景色は充分に堪能したものの、さっ
きまで良く見えていた後ろの水晶と右手の裏銀座の山々は少し見えたが、薬師は既に上半分は雲
の中、しかもどんどん雲が湧き上がって来ている。黒部湖の方の景色が見たかったが、雲の中。
夕立が心配になってきたので山頂はわずか5分いただけで立ち去る。

赤牛山頂まで行ってしまえばあとは下るだけだが、まだ長い道程。山頂直下の下りは崩落やガレ
場が少しあったが、やはりペンキマークを拾いながら歩けば問題なし。途中あまり景色の変化や
ポイントが少ないが、山頂から標識が8分の8から始まって8分の7・6と少なくなっていくの
を励みに下る・・。やや目立つものは白い岩で特徴のある形の岩(ハンコのような形の岩)と、
気象観測らしきアンテナのような気象ロボット?のような物位か・・

赤牛岳を振り返る(6/8手前)

ハンコのような形の岩(6/8手前)

気象用アンテナ? (5/8付近)

奥黒部ヒュッテまでは途中から樹林帯になり、展望が無くなると同時に蒸し暑くなる。が、稜線
で雷に会うよりはマシかも知れない。登山者が自分以外にいないのでクマに注意しなければと、
熊避け鈴を鳴らしながら降りることにする。やはり途中でクマの糞らしきものも見た。。樹林帯
の道はヌカルミが多く、しかも結構な悪路、何箇所か手がかかり・足ががりを探すような所があ
ったり滑り易い所があったり、少し崩落している所があったりと・・急降下ではなくジリジリ長
ーい下り道。疲れもあり、膝も痛めたくないのでゆっくり休み休み降りる。

11:47山頂発

7/8 12:24 

6/8 12:51

5/8 13:12

4/8 13:32

3/8 14:12

2/8 14:51

1/8 15:31
    ↑ のタイムは参考まで・・・ノロイです・・(そして最後はバタバタです)

樹林帯を半分位下ったところで雷のゴロゴロという音が遠くで鳴った。少し降られる可能性もあ
りそうなので、あまりゆっくりもしていられない。その後2〜3回遠くで雷鳴はしたが、幸い雨
には降られず、延々と下っていくと沢の音が近くなって来て、いよいよ奥黒部ヒュッテも近い。
最後は発電機のエンジン音が聞こえ出し、左手に僅かに姿が見え、右手に巻いて下るとようやく
到着。途中少なくなった水を我慢してたので、早速水場を見つけガブ飲みする。
奥黒部ヒュッテは落ち着いた雰囲気で予想通り人が少ない。受付はなんと外国人女性でタイ人?
とヒゲと髪ボサボサのオジサン2人が小屋番。他のお客は、到着時は途中で抜いていったオジサ
ンと2人だけだったが、あとから沢登り&渓流釣りの人が2人加わって計4人、テン場にはたっ
た1人だったようだ。部屋は個室でひとりだけ。ここは温泉ではないが風呂もあるのでゆっくり
入り身体も癒せた。
受付時に黒部湖周辺の道の様子を確認、大雨さえ降らなければ、大丈夫のようでこの日黒部ダム
から来た2人の話でも同じような状況で途中の徒渉でくるぶし程度の水は覚悟のようで、あと1
箇所道が迂回して藪漕ぎが必要な所もあったそうだ。
翌日の平ノ渡しの時刻がはやはり午前は 6:20と10:20のようで、10時だと帰りが遅くなるので6
時の船に乗りたいが、これに余裕を持って乗るには最低2時間半前には出発することになるので
真っ暗な時間帯を1時間位歩かなければならない。道も悪いし、かなり危険かとも思って小屋の
オジサンに確認したら、なんとも言えない答え・・。確かに危険だけど、行って行けないことも
ないとのこと。「クマなんか出ますかねー?」という質問にも、「クマはいますよ・・」。うー
ん・・どうするか・・。でも、たまに行く人もいるらしいので、自分も行ってみることに踏ん切
りがついた。
この日の夜は遅くなってやや本降りの雨。翌日の徒渉が心配になって、少し寝付きが悪い・・。

3日目(奥黒部ヒュッテ→平ノ渡し→ロッジくろよん→黒部ダム:コースタイム 5時間45分
    →扇沢→大町→自宅)

朝、3時に起床。勿論、真っ暗で出発するのも自分だけ。ヘッデンを点灯し、いざ出発。さすが
に真っ暗で通ったこと無い悪路だとビビル。思いっきり熊避け鈴を鳴らしながら歩く。最初は川
沿いの平らな道だがすぐにハシゴの連続の道になる。丸太を組んで付けたハシゴや橋の連続。小
さな沢を高巻きしたりガケにハシゴを付けたりと、かなりアップダウンがあり噂通りの悪路だ。
まるで黒四ダム建設の記録に出てくる建設資材を運ぶボッカ道そっくり。こんな暗い中よーやる
わと自分で感心しながら歩く。これでもかこれでもかと切り立った斜面にハシゴと橋の連続。

少し明るくなった黒部湖

丸太ハシゴ道

切り立った斜面の連続

1時間以上こんな状態が続いたが、次第にアップダウンが少なくなりハシゴの出現も減ってくる
が、自分がどのあたりにいるのか地図上では少々分り難い。渡し船に乗り遅れると4時間も待た
なくてはならないので少し速足で歩く、樹林帯のやや平らな道が続いたところで突然看板があり
平ノ渡しの乗り場は左折・・・。通常の乗り場ではなく仮の乗り場らしい。あまりにみすぼらし
い看板なので少し時間もあったので、少し先の場所まで以前の乗り場を確認しに行ったらそこに
も看板があって、乗り場が移動している旨記入してあったので安心した。

平ノ渡しの乗り場入口の看板

平ノ渡し(針ノ木谷側)

平ノ渡し(平ノ小屋側)

渡し船を待っている間、ホントに船が来るのかと不安になった。小さな船が来た!と思ったら漁
船だった。。やっと来た船の客は自分一人だけ。貸切だ♪。乗船名簿を乗ってから記入。料金は
何でタダなんだろうと思いながらあっという間に平ノ小屋側に到着。小屋のすぐ横に着くのかと
思っていたら徒歩3分の標識、しかも黒部ダムと逆の方向。立ち寄る予定だったがパスした。

平ノ小屋からの道は少しはマシになるかと思っていたらあまり変わらず同じ様な道。相変わらず
沢の前後は高巻き道になっており丸太ハシゴが多い。一番驚いたのはビルの7〜8階位の高さをハ
シゴで降りて、又、同じ高さをハシゴで登る連続攻撃。年々道が悪くなって巻く道も次第に高く
なっていくようだ。気になる大雨による影響はまず最初の大きな沢の中の谷を越えた所が沢の路
盤が少し崩れて流失しており取り付く場所がよく分らない。。あちこち探してみたものの、結局
良く分らず、藪の中の踏み跡をたどり、数十メートル藪漕ぎして本来の道に出れた。
そして、少し崩れた斜面があったり、倒木が道を塞いでいたりと道が切れたりした所も少しあっ
たりハシゴの前後で手掛かり足掛かりを探すとこもあったりしたが、なんとか歩けた。

途中、黒部湖を観光遊覧船が遠くに見えガイドする声が聞こえて来て、思わず乗せてもらいたく
なり、羨ましくなる。
そしてかなり先にロッジくろよんの姿がちょっと見えて来た時はホっとした安堵感。。

どう通ればいいのか・・@

どう通ればいいのか・・A

御山谷

天気は朝から曇りがちでいつ降り出すかと思っていたら御山谷を過ぎたあたりでとうとう大粒の
雨がポツポツ来たと思っていたらいきなりザーっと来た〜〜・・・。樹林帯の中なので余裕でカ
ッパを着ていたら雷がドカーンといきなり近くに落ちた。。高い木の近くは避けるか早足で通り
過ぎ、ロッジくろよんまでの最後の徒渉地点に来たが橋を架けてる工事中で水流多く岩伝いに飛
ぶにも間隔があり過ぎる。躊躇していたら、工事していた人が岩を飛ぶ見本を見せてくれて、川
の途中の岩もグラつかないことが判明してやっと徒渉成功。水に浸からなくて済んで良かった♪
ホッと一息も束の間、雨も激しくなってきたので、ロッジくろよんまで急いで行き、ここで雨宿
り。雨が上がるのを待つ。雷はドカンドカンとなり続け、すぐ近くの大観峰のロープウェイにも
落ちてアルペンルートが寸断されていたようだ。
結局ここまでにすれ違った人はたったの4人・・・。

ロッジくろよんからは道も急に舗装され観光客御用達の道に。黒部湖観光遊覧船の乗り場あたり
から観光客が急に多くなる。登山の格好をしている人がほとんどいない。ファミリーやカップル
の楽しそうな人達の中、黒部ダムを黙々と歩く。少し天気も回復して観光放水が霧のなかに消え
ていく光景と、立山の残雪を眺めながらトロリーバス乗り場に。

黒部湖 赤牛は雲の中・・

霧の黒部ダム下流

黒部ダムと立山方面

扇沢に着くとやたら多くの人が大町行きバスに乗り込んで来た。大観峰のロープウェイが運行中
止の影響で立山に行くのをあきらめた人達が大勢乗り込んできたため・・。隣のオバサングルー
プの人達は室堂に泊まって大日岳に行く予定だったという・・。蓮華温泉に行き先を変更したと
のこと・・(後で分ったが大糸線も大雨で夕方不通に・・・大丈夫だったのかな?この人達)
大町温泉郷で降り、登山者で大賑わいのの薬師の湯に浸かり、タクシーで大町駅まで行き、直通
のあずさに乗ろうとしたが指定席はやっぱり満席。自由席が意外に空いていて座ることが出来、
無事帰路に着く。途中駅からはかなり混んでいた。
そして雷&大雨の中、電車は少し遅れたが、明るいうちに家に着くことが出来た。

 

おまけ
会社を1日休んだだけの3日間でどこまで歩けるかと思って計画した今回の山行。意外に疲れも
そんなに残らずに歩くことが出来て、しかも好天に恵まれて最高だった♪
読売新道も黒部湖沿いの道もどうしようもない道というわけではないが、やはり歩きずらい所が
多かったし、休憩するような適当な場所もないのが難点だった。
少し雷の影響は受けたが、1歩間違えばやられる可能性は充分あった。夏山の雷はホント怖い。
遠くで鳴っていても次の瞬間すぐ近くに落ちることもしばしばだからだ。同じ日程ですぐ近くの
あちらこちらで被害(大天井岳・不帰キレット・爺ヶ岳等)が出ていたことを考えると大変ラッ
キーだったと思う。


   
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