山 行 記 録 No.106  

谷川岳(1963m) マチガ沢 山スキー

【日程】 2006年 3月 25日(土)   【メ ンバー】 TAKUさん・お気楽 2名
          +きむひろさんMINMINさん 2名(途中山頂まで)
日帰り  自宅 →(車)土合 →  天神平 → 熊穴沢避難小屋 → トマの耳 → マチガ沢四ノ沢ドロップポイント
快晴    3:25      6:25    7:30/7:50      8:43/8:48      10:09/10:57      10:58/11:15 
       マチガ沢出合 →  土合口 →  (車)自宅

        11:48/12:37    12:53/13:15        15:25
自己評価  眺望★★★★/達成感★★★★/危険度★★★★/疲労度★★★/総合評価★★★★
     
    
快晴の谷川岳 マチガ沢下部より滑降コースを振り返る

はじめに
山スキーもベストシーズンに突入!
山スキーMLもエクストリーム系の話題がポツポツと。。
自分もいいコンディションなら度胸試し&腕試し&話のネタにシーズン2〜3回は滑ってみたい。
そこで近場で手頃にドロップポイントに立てる谷川岳はマチガ沢を狙ってみることに・・。4日前
の21日に行こうとしたものの、直前で大量降雪で断念・・。ところがMLには何人か滑ったとの報告
が・・ホントに安全だったのか?・・行ければ行けたのかと悔しい思いはしたが、やはり危険なの
で安全に自信の持てる時に行こうと思い、またまた天気と睨めっこの日々。25日は予報も良くて雪
も安定しそうだと思いトライしてみることにした。

(今年の谷川岳危険地域の春の一時入山禁止期間は4月3日〜なので入山はOK)
危険地域の入山には事前に登山届が必要です

山行記


メンバーはいつもの相棒(TAKUちゃん)と行く事に・・。
あと直前でMINMINさんときむひろさんの2人が山頂まで一緒に行き我々の滑りを見学?いや見物?
した後、茂倉谷を滑るということ事になった。(状況によっては全員茂倉谷の可能性も有・・)

なるべく早い時刻にドロップしたいため朝イチのロープウェイに合せて出発。途中MINMINさんTAKU
ちゃんと合流、水上近くの関越道からは快晴の中真っ白な谷川岳が見れて期待が高まる。土合駅で
きむひろさんと合流。既に駐車スペースがやっと停められる位に混雑。天気がいいのでかないの人
出になりそうな予感。

谷川岳ロープウェイベースプラザ ロープウェイからの谷川岳

準備してから事前に登山届を提出していた登山指導センターに行き再度確認後出発。
ロープウェイは去年から新しくなって快適で静か♪。天気は最高で空の青と真っ白な雪が最高に綺
麗だ!西黒沢本谷を見ると下部には大きなデブリで埋められていて少し緊張するも4人で話をした
り写真を撮ったりしてるとすぐに天神平に到着。

シールで行こうか担ごうかと迷ったが今回はまだ先行の入山者も少なく雪面も荒れていないのでシ
ールで登ってみることにした。

天神平スキー場の登り 白神門方面の景色

登り始めてすぐに暑くなり早くも大汗。。
スキー場から少し登った天神尾根の谷川岳のビューポイントで写真撮影。
尾根のアップダウンのある登りは雪面が荒れてないとやはりシールで行った方が速いか?・・
あまりツボ足と変わらないかも。。
熊穴沢避難小屋手前の急に大きく下る所は少し緊張したが、強引に板を付けたままとっとと下る。
避難小屋は屋根のポールがちょっと雪面から出てる位の積雪。

避難小屋を過ぎると次第に傾斜がキツクなりクラストした所も現れたりしたのでクトーも付けるが
カチカチではないのであまり効果はない。
右に見える西黒本谷は降雪でクラックが埋まっているのか綺麗な真っ白一枚バーンで滑りたい衝動
に駆られる。雪崩の音も全く聞こえてこないし、周囲の尾根や沢筋も新しいクラックとか見当たら
ず、雪崩の音も全く聞こえないので雪は安定しているようだ。

熊穴沢避難小屋の屋根が僅かに顔を出す 真っ白な西黒沢

先行者は10人ちょっと位のようで尾根に点々と見える。
先行しているTAKUちゃんはいいペースで登っていて見分けがつかなくなってきた。(右手にトラバ
ースしていたらしい・・)
山頂に近くなって肩の小屋が見え出し傾斜が緩くなるとホッとする。

そして登りながらずっと気になっていたマチガ沢の様子・・。マチガ沢(四ノ沢)のドロップポイ
ントと山頂トマの耳の間から覗き込む。

マチガ四の沢 万太郎谷と苗場山

雪庇の張り出しの少ない場所から身を乗り出して覗くとギリギリで滑走予定ルートの上部が全部見
渡せる所があった。四ノ沢は出だしの一瞬の斜度はあまり大した事はなさそうだったが、すぐにか
なりの急斜面になる。下部は小デブリも見え、その上にうっすら雪が乗っている所が多いように見
える。なんとなく行けそうかな・・。
だが、心配になったのはノートラックだったこと。ここの斜面にファーストトラックを刻むのは度
胸が要る。
先に誰か実験台になって行ってくんないかな〜とか不謹慎な事を考えた(苦笑)。
雪の状態が一番気になったがとりあえず雪崩の心配はかなり少なさそうだが、問題は重さ。マチガ
沢全体は東向き斜面だが、四ノ沢はやや北に向いているので雪は軽いかクラストかだろうが固まっ
ているようには見えなかった。

と観察しながら山頂へ・・。想像したよりあまり人がいないで割と静か・・。景色は最高で空には
雲がほとんど見当たらない。絶好の山日和で、ここまでだけでもかなり満足♪♪

オキの耳とマチガ本谷、奥は一ノ倉岳 山頂で記念撮影

トマの耳とオキの耳の間のコルからのマチガ沢本谷はさすがに一直線に落ちてるので、これはとて
も行ってみようという気にならない・・・。

先に登っていたTAKUちゃんはマチガ沢(四ノ沢)のドロップポイントを下見してから登っていたよ
うで、かなり渋い表情。。
「いやーかなり厳しっスよ〜」という感じ。やはりノートラックだったので緊張感が走ったのか、
「今までの中で一番厳しそうです」と、・・ということは奥穂直登ルンゼより厳しいってこと??
ただ最近テレ練習ばかりしていてキツイ斜面の練習不足で自信を持てなかったようで・・。
ま、スキー技術は自分より相当上なので大丈夫だろうと、かなり自分勝手に考えて行く気満々で準
備開始。でも、やっぱりドロップポイントで自分の目で良く確かめてみようと、ここで皆と別れ一
人で先に行ってみる。

雪庇はさほど張り出していないし、少し下の右手に廻れば段もついていない。雪は20cm位パウダー
が乗っており、その下もやや柔らかめの雪で核心の急斜面もアイスバーンになっていることも無さ
そうなので大丈夫そう。ま、沢も広いだろうし、両側岩の狭いルンゼで転倒も許されない感じでも
無いのでプレッシャーはさほどでもない。(去年の立山御前谷の方が危険そうで恐怖感があったが)

ドロップポイントから見た滑走コース(先が急で見えない) ドロップポイントでポーズ・トマの耳には見物人が・・?

トマの耳にいる皆に○印を出して「OK行くぜー」と合図。
と間もなくTAKUちゃんも準備完了してドロップポイントに来た。山頂トマの耳にはギャラリーが
10人ちょっといるので、カッコ良く決めたいとこだが命も惜しい?ので自分の滑りで行く。。
準備万端でいよいよスタート!。

ドロップ直前(PHTO BY MINMINさん) トマの耳と我々のシュプール(PHTO BY MINMINさん)

エントリーは雪庇のすぐ下にクラックが入っているため無理をせず雪庇の張り出しの無い右の端か
らドロップイン!、出だしの斜度はそれほどでもない(30°弱?)最初は雪の状態を再確認しながら
左に斜滑降。思った通りの状態、最初に様子を見ながらワンターン。そして斜度が増す次のターン
が緊張する。旨く決めないと後のターンも影響する・・。
一声気合を入れてターン、決まった!。。一度決まれば後は同じ調子で行けばいい。雪質の変化と
周囲の状況に注意しながら慎重にターンを重ねる。雪崩を誘発するような横に切る滑りはなるべく
したくないので直線的に一気に滑りたい。
斜度は急な所が45°位か?。。

上部で振り返る おいしそうな斜面だが見た目よりはかなり急・・

核心部分の急斜面は雪質の良さ(まずまずの吹き溜まりセミパウダー)に助けられ割とあっさり
通過・・・♪、
オキトマのコルからの合流のノド状になっているあたりからデブリの上に乗った雪となり、周囲
を確認しながら滑り安全そうな所で停止、少しでもデブリの少ない綺麗な所を左右の斜面を探し
ながら滑るが、雪の良さそうなのはやはり右手の北向きの斜面が多かった。

デブリをかわしながら滑る この辺りから雪は重くなる

沢の中は左右からデブリが多かったが巨大なものは無くスキーで乗り越せる。沢の合流ごとに前後
左右上下の確認をしながら止まったり、通りすぎたり。
もっとゆっくり写真も撮りたかったが急斜面だと自分の滑ったシュプールから小さな雪の塊がパラ
パラ落ちてきて、これが当たると意外に痛いのでなるべく早めに場所を変えながら撮影。やはり危
険地帯は早めに立ち去るに限る。。

下部を滑る(お気楽) 同じく(TAKUちゃん)

高度が下がると雪質も地形や陽の当たり具合によって変化。クラストっぽい所ややパウダー残りの
場所と湿雪やらと次々に現れて忙しい・・。
安全地帯まで下って一息入れ、写真をゆっくり撮る。
マチガ沢の全景をゆっくり見ると、やはり威圧感のある沢だ。
最後は比較的斜度の緩い広めの斜面を一気に飛ばしマチガ沢の出合に到着。
ここで大休止。
快晴無風の暖かい陽だまりの中でくつろぐ。祝杯を上げるためにビールでも買ってきておくんだっ
たと後悔したが、気分は最高で無事滑り降りた充実感と安堵感でいっぱいだった♪


コース上部斜面(クリック拡大)
右側に我々のシュプール、左は後続のボーダー氏のもの

ゆっくり休憩している間に後から滑ってくる人が・・単独のボーダー氏。なかなか度胸ある。。少
し話をしたが高崎に住んでいて天神平のシーズン券を持って通っているようで、しかもワーキング
ホリデーでカナダでかなり滑っていたようだったがマチガ沢は初めてだと言っていた。

すぐ横で真面目に雪山訓練をしている団体さんがいた。休み終えて林道を滑り出す時この団体さん
のうちの2名の方と少し会話したがこのうちの女性の方がmoguさんだと後でMINMINさんの掲示板で
分かった。(いつもながら思うに狭い世界ですねー)

マチガ沢出合の休憩場所で 指導センターで無事下山の届け

最後の林道の滑りはあまり漕がなくてもゆっくり滑っていくような緩い下り。途中2ヶ所程雪が切
れていたが概ね楽に行けた。最後は少し斜度のある所を滑ると指導センターの裏手に出て終了。。

まだ時間が早くてもったいないが、いい気分のまま空いている関越でとっとと家路についた。

 

おまけ
厳しいと思われていたマチガ沢も条件次第でこんなに快適に楽しめるのかと思ったが(個人的な印
象として)、翌日はもうクラストして厳しい条件だったようだ。(山スキーMLの投稿より)
ただ、実際は停止した時など小さなブロックがパラパラ落ちていた箇所もあり、もうちょっと早い
時間にドロップするべきだったことが反省点。。

今回は全てが恵まれた条件だったが見極めも難しい。実際のドロップ地点から核心部の正確な状況
は分らないからだ。やはり経験とカンと科学的根拠とが全て揃って「見る目」が養われるのかも。

また条件次第では他のエクストリーム系の所も滑りたい気持ちになってきた・・♪。

今回のGPSデーターはこちらにUPしました。。

トマの耳まで同行のきむひろさんのレポはこちら、MINMINさんのレポはこちらです。

警告:マチガ沢は大変危険な場所ですので安易な気持ちで立ち入ったり滑りに行く事はお止め下さい。
   事前に充分な調査と準備が必要です。条件によっては大事に至ることもあります・・。


おまけのおまけ
今回は山スキーMLによく投稿されている方々とたくさんお会いしました(したようです)。
写真やメールをいただきましてありがとうございました。お礼申し上げます♪。



                    スキーのページトップに戻る