山 行 記 録 No.165-2
槍ヶ岳(3180m)・奥穂高岳(3190m)/大喰カール
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【日程】2009年4月30日(木)〜5月2日(土) | 【メ ンバー】 TAKU・お気楽 2名 |
4/30 自宅 → 新穂高 → 白出沢出合 → 滝谷避難小屋 → 槍平小屋 → 快晴 1:50 6:00/6:35 8:20/8:55 (途中休憩20分) 10:43 11:30/11:42 飛騨乗越 → 槍岳山荘 16:12/16:22 16:43 |
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5/1 槍岳山荘→ 槍ヶ岳山頂 → 槍岳山荘→ 飛騨乗越 → 大喰岳山頂→(大喰カール滑走) 快晴 7:05 7:35/8:00 8:25/8:35 8:47/8:53 9:12/9:33 ヘリ救出地点 → 天狗原下 →横尾尾根のコル→(横尾本谷滑走) 涸沢・本谷出合 →涸沢ヒュッテ 9:37/11:02 11:15/11:40 12:20/12:40 13:40/13:48 14:45 |
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5/2 涸沢ヒュッテ → 穂高岳山荘 → 奥穂高岳 → (奥穂直登ルンゼ滑走)→ 小豆沢上部 → 快晴 7:00 9:15/9:40 10:42/11:35 12:10/12:40 穂高岳山荘 →(白出沢滑走)→荷継沢出合 → 鉱石沢出合 → 白出小屋→ 13:40/14:15 14:47/14:57 15:48/15:55 16:30/17:00 新穂高 → (平湯の森) → 自宅 18:35/19:05 0:10 |
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自己評価 眺望★★★★★/達成感★★★★★/危険度★★★★★/疲労度★★★★★/ 総合評価★★★★★ |
前日(5/1)より続く
5/2(3日目)
またまた快晴の朝を迎え、さすが涸沢、早い時間から奥穂や北穂に向かう人が多く登っている。
結局またモタモタ準備に時間がかったものの少しは早く出れるかと思ったらアイゼンが靴にうまく
装着出来ておらず付け直してる間にまた遅くなってしまった。
さて、この日は今回のハイライト。奥穂山頂からの直登ルンゼ(ダイレクトルンゼ)の滑り!
奥穂山頂に向かうのにまずは小豆沢の登り。既にかなり多くの人が取り付いていて、トレースだら
け。
テント村脇を抜けて出発 | 小豆沢の登り |
白出のコルまで朝陽を背中に浴びながら板を担いでのツボ足登りですぐに暑くなって汗ビッショリ。
苦戦したがさほど遅くならずに白出のコルに着くと少し風が出て一気に涼しくなってホッとする。
小豆沢の途中から奥穂直登ルンゼが見える | 穂高岳山荘 奥に笠と白山 |
ここで余計な荷物はデポしてザックを軽くしてから奥穂への登り。最初のハシゴの前後の登りが急な雪壁で、やや苦戦して、その後の登りも高度の影響かあまり歩が進まない。
白出のコルからの登り(まずはハシゴ) | ハシゴの後の雪壁 |
景色は背後に槍が見えて高度感が増して素晴らしくなる♪
奥穂の山頂が見えてくる | 振り向けば槍 |
この辺りまで来るとすれ違う人が一様に同じ質問してくる。
「どこ滑るんですか?」と・・。
「え?、奥穂の山頂からですよ!」
「??山頂からって?相当急ですよね?」
「ええ、上の方はちょっとね・・」
「頑張って下さいね!」
とこんな感じの会話が何度か続いてやっと山頂へ。
登りの途中で見えた奥穂直登ルンゼ上部 |
奥穂山頂 | 山頂祠下にて |
山頂の祠 | 前穂&吊尾根 |
何年振りかな・・・!?、2度目の山頂♪
ジャンダルムもすぐそばに大きく聳え、前穂もすぐそば♪、
絶景なのだが・・・
その後の滑りのことが気になって、今までで一番景色を見る余裕が無かった。
山頂にて バックはジャンダルム |
記念撮影をした後はドロップポイントを何処にするかを早速検討。
事前に山頂からの斜面が良く見える地点から観察した限りでは祠の下のあたりに小さなクラ
ックがあり、また小さな面発生雪崩の跡もあった。
破断面から20〜40cmのあたりに弱層があるようだが、雪は既にかなり緩んでるのでズレても
遅いスピードで落ちるような崩れ方か・・。
山頂祠横にて雪の状態チェック 雪深く、クラック走る |
前日か前々日のシュプールがあったが、皆さん少し下がった安全な地点からドロップしてい
たようだ。
自分としては一旦は祠のすぐ横の一番高い所(祠を左手に見ながら)からドロップして少し
左に斜滑降を入れて一気に滑り降りようと思ったが・・、
普通の雪なら斜度はあっても問題無く行けそうだが、山頂に近い場所だけ新しい雪の層が厚
い。もし滑走中に雪の層がズレて転倒したら滑落して岩場に激突して軽傷では済みそうにな
いので、やはり安全に一段低いシュプールのある場所からにした。
同行のTAKUちゃんはそれでも少し上の祠に近い場所からドロップすることに。
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ちなみに・・
奥穂直登ルンゼの山頂から滑ったルートはこちら↓
奥穂直登ルンゼの上部滑走コース |
赤 当初狙っていた山頂に一番近い所からドロップするコース
緑 今回TAKUちゃんが滑ったコース
青 今回自分が滑ったコース
黒 転倒するとこうなって岩に激突・・(例)
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ドロップポイントに立って、雪の状態を再度チェック。表面は緩んで重重だが非常にズルっ
となり易い雪で下に硬い層がある。ただ何度か負荷をかけてみたがズレない。
直登ルンゼ上部より (まだ綺麗) |
いよいよ滑り出そうと、少し横滑りで滑り易い雪を選んで、少し斜滑降気味に降りながらタ
ーンしようと滑った瞬間いきなり足払いを食らった!?
技ありか一本か?ってところ。。
え、何だ?足元の雪がズレたようで・・山側に転倒。一瞬山側の手を付いて押さえたが少し
ズレ落ちたのですぐに谷側の手に持っていたウィペットを突き刺して滑落を防いだ。斜度が
斜度なだけに焦った。。
そして下を見たらズレた雪はスラフを起こしてズンズン雪崩ていく・・スラフっていうより
小規模雪崩に・・・!
湿雪雪崩なので落ちて行くスピードは大したこと無いが、それでもよく目にするジョギング
並みのスピードよりもっと早く、短距離ランナー並みのスピードで落ちていった。
ま、巻き込まれても埋まるようなことはない感じもしたが、やはりいつもより少し大き目に
長く崩れたのでちょっと焦った。
勿論下に人がいないのは確認してはいたが、出だしでちょっと先制パンチを浴びた形なので
より慎重に滑る事に。
デブリを出現させてしまった・・・!? |
斜面の左手(スキーヤーズレフト)は全て緩んでスラフが発生し易そうだったので、出来る
だけ右手の硬い斜面とか雪崩れて硬い層が出てきた所でターンしていく。
勿論硬い所もコロコロ(氷っぽい塊)がパラパラと落ちて来るので油断は出来ないし、気温も
上がっているので左右両方の谷筋からいつ一発来てもおかしくない状況。
直登ルンゼのシュプールは右岸側に | ルンゼを攻める!(TAKU) |
こうなると緩々雪より硬い方がターンし易く崩れ難いので安心出来るが、それでも雪崩が怖くて
ターン毎に後を振り向きながら2〜3ターンしては止まるという快適でない滑り。
中間部より斜度が緩んで少し危険度は低下したが、相変わらず重くてターンし難いので引き続き
右手の硬い所を選んで滑る。
直登ルンゼ滑走終了! |
正面に小豆沢が見えてきたあたりでやっと普通に行けるようになったがすぐに終了、小豆沢
にトラバースして合流すると緊張から解き放たれてホッとしたのと重い雪で疲れたこともあ
って、思わずヘタリ込んだ。
直登ルンゼから小豆沢に戻った場所 | ホントにホッとしたひととき♪ |
さて、日差しが最高潮になった時間帯に小豆沢の登り返し。
もう踏み跡は登り下り入り混じってグチャグチャ。
アイゼンも面倒なんで付けなっかったが雪は全く問題無く緩んでいた。
約1時間でまた白出のコルへ。
ここに着いた瞬間、穂高岳山荘のスタッフの女の子が近寄って来て「何かお飲物はいかがで
すか〜?」と。
思わず「ポカリ!」と言ったらすぐ持って来てくれた。
なんかかわいい子で・・微笑みながら持って来てくれると旨さ倍増、
疲れ半減となりますな〜・・・♪
山荘前では最後の白出沢の滑りを控えて休憩。
先に着いていたTAKUちゃんは白出沢の様子を観察しに行こうとしてたら3人ほど山スキーの
人達が白出沢を詰めて来たらしい。TAKUちゃんはいろいろ話して情報を収集したようで、
どうやら福井のYAMADAさんの山スキー仲間のしゅうさんと大ソロさんで、自分は疲れてボ〜
っとして遠巻きに見てたのと、彼らも先を急いでいたようで話出来なくて残念だった。
白出沢は大滝以外の所は雪がほぼ付いてるとのことで安心した。
穂高岳山荘横白出沢ドロップポイントより涸沢岳 | 白出沢上部(右上が穂高岳山荘) |
さて時間も押してきたので最後の滑りとなる白出沢を降りる。
穂高岳山荘のスタッフが屋根の雪下ろしをしていて雪をバンバン白出沢に落としてるのでちょっと
待ってたら、「どうぞ!」と手を止めてくれた。5人位の人が見送ってくれる中なので、サクッと
しなやか滑りで決めて行きたいとこだが雪の中に地雷が埋没・・焦って踏んでしまいながらもサッ
サと滑り下りる。
白出沢の滑り(TAKU) | 白出沢の滑り(お気楽) |
時間的に気温も上がってきたので注意しながら行く。実際落石やら雪の小さな塊やらがパラパラ
落ちてきてるのでゆっくり休む場所も限られる。。
この辺のデブリには落石が混じってるので地雷が多い。石やらデブリを避けながらの滑り。
相変わらず重重なので慎重に行く。なかなかお手頃な斜度と斜面が長く続くので雪が良かったら
さぞ楽しいことだろう・・。
白出大滝の巻きにかかる前位でやっとちょうどいい快適ザラメ斜面になり嬉しい・・やっぱこうで
なきゃね〜♪
と、喜んだのも束の間・・大滝の巻きへ。
白出沢下部の滑り(TAKU) | 白出沢下部の滑り(お気楽) |
巻き道はトレースがあったのですぐ分かったが、いきなり笹藪登場。
しかも木の枝が担いだ板を邪魔したり、雪が緩緩で踏み抜く箇所が多く、疲れた体にムチ打たれた
気分。しかも割と長い。
白出大滝の巻き道@ | 白出大滝の巻き道A |
ヘロヘロになってまだかまだかと思っていたらやっと鉱石沢が見えてきて巻き終了。
ちなみに下から見上げた白出大滝は水が良く流れ落ちていた。
巻き終了の鉱石沢出合 | 白出沢最後の滑り |
ここから後は完全消化試合。デブリが埋まったようなボコボコ斜面を避けながら滑り、最後は沢の
左岸沿いを巻きながら木の間を縫うように滑って、一度だけ板を外して徒渉。
更に左岸沿いを滑り、やっと登山道が見えてきて滑り終了。
やっと白出沢の滑り終了 林道出合 | そして休憩 |
疲れました・・
出合ではTAKUちゃんが雪の中に隠して冷やしていた杏仁豆腐を食べ少し元気回復♪
デポしていたスニーカーに履き替えてあとは長い林道歩き。
最後の林道(穂高平) | 新穂高に到着♪ |
なんか疲れかストレス?からか胃の調子が悪くなり歩きのピッチも上がらない。
ヘロヘロヨレヨレになりながら日没寸前でようやく新穂高に到着。
お疲れさんでした。マジ疲れたけど楽しかった♪♪下山後は平湯の森で汗を流し帰路へ・・
ちょうど日付の変わった頃家に着いた。
あとがき
槍と穂高の周回ルートは山スキーに向いた、お気楽好きの急斜面の宝庫で景色も抜群!
さすが槍穂ですな〜!、気に入りました♪ 天気も3日間快晴!
ゆっくり2泊づつでも小屋に泊まっていろんな斜面を滑れればもっと楽しめるんですがね〜。
今回は飛騨沢を滑れなかったのが残念だったけど、また次回ってことで。。
奥穂直登ルンゼは雪の状態が悪くあまり楽しめなかったですが久々に緊張しましたね。斜度は
白馬の2号雪渓の出だしの方が全然急ですが、祠の奥からドロップして失敗・転倒すると岩場
に激突する可能性がある分プレッシャーがかかります・・。一度は祠の奥から「行ける!」と
判断したものの、やはり少し下げた位置からにして正解のようでした・・何も命懸けなくても
いいもんで・・。
あとは嫌らしいノドとかも無く結構広い♪
それにしても雪質等のコンディションの見極めは難しいですね。我々より4時間後に滑ったし
ゅうさん・大ソロさん達の頃にはカチカチにクラストしてたらしいです。
条件さえ良ければ楽しめると思いますんで、くれぐれも慎重に見極めた上で滑りましょう。
勿論あくまで自己責任で他人様に迷惑をかけないようにしましょうね・・・。